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インタビュー:丸茂日穂(株)ギャガ・コミュニケーションズ取締役副社長

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インタビュー:丸茂日穂(株)ギャガ・コミュニケーションズ取締役副社長

2007年05月23日
海外市場を見据えた邦画

―昨年の宇野社長のインタビューで今後は本数を絞っていくとのことでしたが、年間どれくらいが妥当だと丸茂さんはお考えですか。

丸茂 このビジネスの一番の特徴は、量を売るビジネスではないので、メーカー、製造業みたいに今まで作ったものを倍作れば、売上が倍になったり、3倍作れば3倍売上があがるということじゃなありません。本数と売上が必ずしもリンクしないし、本数が少なくても我々が必要とする売上が出来るということをいろいろ考えていくと、いま我々は何をもってして本数を適当とみるかが、ポイントになってきます。予見として、1年間は52週間ということと、チェーンの数です。シネコンは増えていますが、結局チェーンの数は限られているということ、そして一つのチェーンのスクリーン数がシネコンが増えることによって増えているだけであって、上映できる作品数はそんなに変わらない。やはり年間我々が扱える本数は、どれが妥当かというと、1本あたりが5、6週間の興行という風に考えると、洋画のAロードが3本、Bロードが3本、また単館系を4本くらいと、年間10本くらいが妥当なのではないかと思います。今年は「バベル」、「プレステージ」、来年は「アース」(原題)だとか「ライラの冒険」(仮題)だとか、いくつか大きな作品がありますので、結構Aロード系の作品も揃っています。

―昨年から自社製作「GAGA FILMS」作品を公開しましたが、邦画は今後も力を入れていかれるのですか。

丸茂 邦画の良さというのは洋画と違っていろいろあるじゃないですか、ひとつは永久権を持てること。GyaOでの放映権やVOD(ビデオ・オン・デマンド)の権利だとかを取るには、邦画はもう作る時からそれを意識して作るわけですからね。今後、携帯のワンセグとかいろいろあって、また10年後、20年後どうなっているかわかりません。でもその時に、自分たちが邦画を作って権利を持っていれば、ある程度いかようにもできるという意味では、ハンドリングのしやすさがありますよね。そういう意味では、邦画というのは魅力ありますね。でも、邦画が邦画で終わってしまうと、実はGAGAにとってはあまりおいしくないと思っています。邦画といっても今作っている邦画というよりは、海外に通じるような邦画、邦画=日本語で日本の役者で撮っている作品というのではなく、日本で我々が製作していく中で、全編英語の映画のようなものが必要かなと。海外マーケットを見据えたものです。海外で英語の字幕つけるなんて欧米ではありえないので、どっちかというと最初から英語で作っていくようなことにも我々はチャレンジしていくべきなのかなと思っています。

―年間の本数はどれくらいと。

丸茂 邦画は年間に3~5本くらいで、それなりに大作、中規模、そして単館系のものと。昨年11月に公開した「手紙」などはルーブル系のAロードに出て、興収12億円いきましたからね。今後もいろいろな規模の作品があっていいと思うんですが、できればチェーンでかかるような作品をきちんとやっていきたいと思ってます。そのためにはGAGAだけでは出来ないので、USENグループの力を借りてやることと、あとはパートナーですね、興行会社さん、TV局さんなどにご協力いただき、チェーンでやれる大きな作品を3本くらいできればいいですね。

―今年1月からDVDの自社販売もてがけられましたね。

丸茂 発売も販売も自社でやった方がより利益率がいいからです。 リスクももちろんありますが、販売のリスクにおいても、一般的には売上を上げる為に多くを出荷し、その結果、返品が増えてしまうということがわかっていましたので、無理はしていません。その辺のリスクを最小限に抑えていくような営業スタイルで我々はやっております。一番大きな目的は、販社をやることによって、店舗、エンドユーザーに近いところと接触できるのことにより、どういうジャンルの、どういう作品が売れ筋だ、などという情報が入ってくることです。作品を仕入れる際には、今後それらの情報をベースに、買い付けていけます。ただ数を増やすのではなく、正確にエンドユーザーのニーズを吸いあげた上で買いに行くというのが重要です。
 映画の公開作品、邦洋合わせて10本~15本(年間)のレベルのものについては、我々はある程度全体の流れも把握しているので、何を選択すればよいかわかるのですが、ビデオ(DVD)ストレート作品については、実際の現場での流れを卸、小売店さんなどとお付き合いしながら、今何が売れているのかという情報をキャッチしつつ、やっていかなければならないと思っています。
 それから、GyaOがオリジナルコンテンツなども製作していますので、それらの作品の販売の一切を請け負ってやっていくということも重要な任務だと思っています。今現在、映画興行が全体で2000億円強でしょ、ビデオ(DVD)ソフト売上が3300億円、TVが数百億円の市場規模だから、やはりビデオ(DVD)のマーケットは大きいですよ。

(全文・詳細は月刊誌「文化通信ジャーナル」07年4月号に掲載)



丸茂日穂(まるも・にちほ)

昭和31年生。昭和54年4月、日本電気入社。平成9年7月、同社退社。同月、ギャガ・コミュニケーションズ入社、同年10月、ギャガ・ピクチャーズ・カンパニー テレビ事業部長就任。10年12月、取締役就任。11年10月、ギャガ・メディア・カンパニー プレジデント就任。12月、常務取締役就任。12年12月、専務取締役就任。14年12月、代表取締役社長兼最高執行責任者就任。15年4月、ギャガ・ミュージック代表取締役社長就任。16年12月、上級執行役員、18年9月、上級執行役員兼営業本部長就任。同年11月、取締役副社長兼上級執行役員兼営業本部長就任。



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