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【邦画3社 2017年配給ラインナップインタビュー】東宝 市川南取締役

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【邦画3社 2017年配給ラインナップインタビュー】東宝 市川南取締役

2017年02月10日

東宝・市川氏.jpg



 東宝が、前人未踏の大記録を成し遂げた2016年。1年間で積み上げた興収は854億2670万6030円。これまでの2010年の記録を100億円以上も上回り、まさに圧巻の1年間だった。

 公開した32番組のうち、10億円、20億円以上の番組は前年より減ったものの、30億円、40億円、50億円以上が増加。1本あたりの興収が膨らんでおり、16年の映画界を代表する2作品『シン・ゴジラ』は80億円を超え、『君の名は。』は正月興行を経ても未だ勢いは衰えず235億円(1月22日現在)まで興収を伸ばしている。

 17年も盤石の作品群。例年どおり5つのアニメシリーズ、テレビ局、自社製作を3本柱に据え、さらに磨きをかけた格好だ。東宝の独走、快進撃はいつまで続くのか。ラインナップを束ねる市川南取締役(=写真)に聞いた――。





プロデューサーと監督の掛け算


――16年は興収が854億2670万6030円で、10年の741億3577万3千円を超えて歴代最高となりました。振り返って、どんな1年でしたか。

市川 16年はおかげさまで良い年になりました。お客様、劇場関係者、マスコミ、製作会社、監督、俳優さんをはじめとするクリエイターの皆さんに感謝しています。近年同様、3つの柱がきちんと機能した1年でした。まずアニメは、5つのシリーズが非常に良い状態で、『ドラえもん』が36作目、『名探偵コナン』が20作目でともに興収新記録。『クレヨンしんちゃん』は24作目で、2年連続の20億円突破。『妖怪ウォッチ』も2作目が大ヒットし、現在公開中の3作目も順調です。『ポケモン』もきちんと稼いでくれました。
 次にテレビ局の作品も極めて順調でした。フジテレビさん『信長協奏曲』『暗殺教室』、TBSさん『64‐ロクヨン‐』、日本テレビさん『ちはやふる』『ルドルフとイッパイアッテナ』『海賊とよばれた男』。テレ朝さんは『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』のアニメに加え『SCOOP!』、テレビ東京さんは『ポケモン』『妖怪ウォッチ』のアニメ2本をヒットさせてくださいました。
 3つ目の自社製作は、近年ようやく柱と呼べる状態になってきていたところ、昨年は『シン・ゴジラ』と『君の名は。』が予想をはるかに超えて大きく花開きました。

――昨年末のラインナップ発表の席上で、市川さんは『シン・ゴジラ』と『君の名は。』に関して「監督とプロデューサーの掛け算がうまくいった」と話していましたね。

市川 邦画があまりよくない時代は、監督主導の作品が多かった。それを何とかプロデューサー主導の作品を増やし平均的に当てられるようになってきたのが、この10年から20年の流れです。その延長で、今度はプロデューサー主導のやり方と従来の作家主義、監督主義がうまくミックスできたのがこの2本でした。『シン・ゴジラ』は国産ゴジラの29作目ですが、どちらかと言えばプロデューサー主導で作られてきたゴジラに庵野秀明という才能が加わった。結果、極めて作家性の強いゴジラになり、興収81億円のメガヒットとなりました。同様に『君の名は。』も、東宝の夏休みの映画として、稀有な才能の持ち主である新海誠監督が、プロデューサーと理解・共鳴した上で作家性を発揮してくれました。監督主導の映画から、プロデューサー主導の映画に必死に取り戻そうとする時代が続いていたけれども、今度は作家の才能と掛け算にできた。そこまで明確に意図したわけではありませんが、結果的にそう言えると思います。

――好調なアニメシリーズの中でも、特に『名探偵コナン』が大きく上積みされました(63億3千万円、15年は44億8千万円)。どう分析していますか。

市川 コナンは中高生がOLになっても、母親になっても見続けている、ファンが卒業しない説、また、お母さんが娘と来るという親子二代に差し掛かっている説がありますけど、やっぱり根本は作品の面白さ、製作陣のたゆみない努力の賜物だと思います。原作者青山剛昌先生のアイデアを元に、毎年脚本を練りに練っています。昨年の作品は「黒の組織」というコナン最大の謎を少し解いていく話でファン待望の作品であり、映画の出来も非常に良かった。静野孔文監督はコナンの映画が昨年で6作目。見事な演出でした。


続きは、文化通信ジャーナル2017年2月号に掲載。

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