2006年に当時19歳で青森を中心にアマチュアバンドマンとして活動していた成田大致が、〝地元で手作りロックフェスティバルを開催する〟と立ち上げた『夏の魔物』。今では多くのロックバンド・プロレスラー、各界の著名人などが出演しているが、オファーは全て自分で交渉。年々動員を増やしており、約3000名規模のイベントになっている。2015年には10回目の開催を無事に成功させ、今年はいよいよ10周年を迎える。今回はアルバム発売、そしてフェス開催を目前に控えた夏の魔物メンバーの成田大致、ケンドー・チャン、塚本舞(敬称略)の3人に話を聞いた―。
(左から)ケンドー・チャン、成田大致、塚本舞
「メンバー全員、成田さんがやりたい事とかやっている事にリスペクトして集まっている―。だからクオリティの高いものをライブで出せているかなと思っていますね」(ケンドー・チャン)
――まずは自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか。
チャン
〝天元突破未来形アイドル〟関西人のケンドー・チャンです!ダンス、ボーカルを担当しています。よろしくお願いします。
成田
夏の魔物のボーカル担当、ロックフェスの主催者もやっております成田大致です。
塚本
〝愛と正義のグラビアアイドル〟ハイトーンボイスのボーカルとダンスを担当しております〝まいぷに〟こと塚本舞です。よろしくお願いします。
――ありがとうございます。「夏の魔物」というユニット名はどういったネーミングで付けたのでしょうか?
成田
ネーミングは俺が好きなスピッツの1stアルバムに「夏の魔物」っていう曲があるんですけど、そこからですね。『スーパーロボット大戦』とか『MALVEL VS.CAPCOM』とか、クロスオーバーするゲーム作品が好きなんですけど、それを音楽で表現できないかと目指して作ったものが夏の魔物というユニットです。
チャン
メンバー全員キャラクターがあって、プロレスラーさんがいたり私はアイドルをやっていたり、あと特撮オタクがいたりだとか。舞ちゃんはグラビアアイドルとしても活動していたり、異色のメンバーが集まってやっているっていうところが注目ポイントです。
―今年もTIF(Tokyo Idol Festival)に出られたりしましたけど、アイドルグループ・・・ではないですよね?
成田
俺はロックバンドっていうアティテュードでやっていますね。
チャン
私もロックバンドだと思ってやっています!ただ、ロックバンドの中でも〝私なりのアイドル要素〟を持って活動している感じですね。
――塚本さんはグラドルとしても活躍されていますよね。
塚本
私は(イメージカラーが)ピンクなので、セクシーさを加えつつもロックな魂で活動しています。今まで3作品シングルリリースしているんですけど、PVの中で必ず水着になっているんですよ。衣裳もいつも胸の谷間やおへそや太ももが他の子より露出が多いので、わかりやすくセクシーさを出している部分はあります(笑)
―あらためて個性的な3人だなと思うんですけど、メンバーの仲は良いんでしょうか。
三人
仲はいいです!(断言)
チャン
みんな言うたらオタクの集まりなんで、どんなジャンルでも話は「へーっ」て聞いてられるし楽しいし。メンバー内で吸収できるので面白いですね。
塚本
ため込んだ熱を舞台上でロックとして昇華してステージをするみたいな。
成田
俺、音楽活動10年以上やっているんですけど、こんなに仲良いのも初めてですね。メンバーに対して絶対的な信頼をもっているので。メンバーがいる場で言うのも恥ずかしいんで、言いたくないんですけど(笑)作品を一緒に作るにあたっての不満とかは何もないですね。
チャン
メンバー全員、成田さんがやりたい事とかやっている事にリスペクトして集まっているので。それについていこうという気持ちで繋がっているので、だからクオリティの高いものをライブで出せているかなと思っていますね。
「俺たちはあまり〝リード曲〟っていう捉え方ってないんですよ。うまく言えないんですけど、全曲キラーチューンというか」(成田大致)
『夏の魔物』通常盤ジャケット
――9月7日に1stアルバム『夏の魔物』をリリースしますね。
成田
アルバムは夏の魔物がどういうものなのかっていうのがわかる作品になっていると思います。俺、THE BLUE HEARTSが好きなんですけどTHE BLUE HEARTSの1stアルバム『THE BLUE HEARTS』、THE ROOSTERSの『THE ROOSTERS』みたいに、1stアルバムって大体セルフタイトルなんですけど、そういう作品にしたくて夏の魔物の『夏の魔物』というタイトルにしました。今の俺たちがライブでやっている楽曲をほとんど入れた感じですね。
―その中で今回新曲が3曲(「恋の天国はケモマモハート」/「世界は愛と夢で出来ている」/「未来は僕等の風が吹く」)ありますが、参加陣がすごく豪華ですよね。
成田
俺たちはあまり〝リード曲〟っていう捉え方ってないんですよ。ただ、ヒャダインさんと作った「未来は僕等の風が吹く」、『新世紀エヴァンゲリオン』でおなじみの及川眠子さんと作った「世界は愛と夢で出来ている」や、ロックの大先輩たちと作った「恋の天国はケモマモハート」とか、うまく言えないんですけど全曲キラーチューンというか。
――チャンさんや塚本さんはそれぞれ特に注目してほしいという曲はありますか?
チャン
「未来は僕等の風が吹く」は私の声のキーにとても合う曲で、しっかりと〝自分の声〟の良さを出せる曲にして頂いているので特に魂込めて唄っています!
塚本
私は「世界は愛と夢で出来ている」ですね。言っていいんですかね?この曲は今のところもライブで披露する予定がなくて、アルバムでしか聴けない幻の曲なんです(笑)
――えっ?!
成田
ちょっと難しい曲を作りすぎて(笑)いわゆるライブでは絶対できないような。
塚本
いつも成田さんがリードボーカルとしてセンターにいるんですけど、この曲は割と女子のかけ合いを聴かせる楽曲になっていて。本当にかっこよくて、今回のアルバムの中でもこんな夏の魔物は聴いたことがないって、たぶんファンの方がびっくりするような楽曲に仕上がっています。私はいつもハイトーンのところを担当しているんですけど、これまでの楽曲の中でも一番高い音域に挑戦しています!楽譜の譜面から外れるぐらい(笑)
――聴いてみます!あらためて楽曲を見ると、メンバーのアントーニオ本多さんが作詞をされている曲(<M05>「SUNSET HEART ATTACK」)もあるんですよね。
成田
これは前身のバンド時代(SILLYTHING)に作った楽曲ですね。元々プロレスとアントンさん(アントーニオ本多)がすごく好きで、フェスにも最初の方(07年)からMCとしてずっと出てもらっていたんですよ。それで当時タイトルマッチでアントーニオ本多VS男色ディーノという試合があったんですけど、その試合を見てすごく感動して。これを歌にしてほしい!とお願いしました。その時にアントンさんが感じていたことや、試合の時の思いが込められているんじゃないかなと。ロックでポエジーなアントンさんの良い部分が出てると思います。
――ちなみにプロレスはいつ頃からお好きなんですか?
成田
小学生ぐらいから好きです。地元に来た時は必ず行っていましたし、上京した時もまず秋葉原に住んでいたんですけど、それも後楽園ホールと両国(国技館)にすぐいけるからっていう理由で。最近はちょっと活動が順調なのでいけなくなったんですけど(笑)今も昔も新日本が好きですね。
「4年後のオリンピックでは、キャプテン翼、マリオ、ハローキティ、ドラえもん、中田ヤスタカさん、椎名林檎さんに並べるように…」(成田大致)
――10月1日には恒例のロックフェス『夏の魔物』もありますね。今年で10周年ですけど、このフェスはどんな流れで始まったんでしょうか。
成田
そもそも16、17の時にライブハウスで『夏の魔物』っていうタイトルでイベントをやっていたんですよ。それで自分が当時青森に住んでいたんですけど、ツアーバンドって仙台で止まっちゃうんですよ。で、次は札幌に行っちゃって…。と、いう仕組みに高校生の時に気付いて(笑)こないんだったら呼べばいいと。それで遠藤ミチロウさんとかPOLYSICSさんとか今の『魔物』に出てくれるようになっている人たちと繋がりをもって。それが最初ですね。
――この10年間で大変だったことってありますか?
成田
いつも大変です(苦笑)。10回やっているんですけど、感覚的には10戦9敗1分みたいな感じですね。元々俺、家族と一緒にフェスをやっていたんですよ。
――それも珍しいですよね。
成田
ただ家族と〝セパレート〟したので(笑)去年とかからもう完全に一人でやっていて。キャスティングとかも全部一人でやっている感じです。(フェスをはじめた)18、19ぐらいの時は会場を貸してくれないんで親も一緒にやってくれていて、その流れでずっと一緒にやっていたんですけどね。色々な問題があり〝セパレート〟ということに…(笑)
塚本
大変といえば去年は私とチャンは初参加だったんですけど、朝6時30分ぐらいからチケットもぎりとかして・・・(笑)
チャン
メンバーもそれぞれ動くんですよね。必死に物販立つ子がいたり、荷物番したりとか。前日の番はリストバンドをちぎって作ったり(笑)
成田
去年は大成功でしたね。でも今年はもっといけると思っています。
―年々動員も増えてると思うんですけど、今後目標はありますか。
成田
動員よりも「続ける」ことですね。もちろん、大きくはしていきたいですけどね(笑)フェスもユニットもずっと続けていきたいなと思ってます。
―なるほど。それでは最後に直近で告知などあれば!
塚本
9月7日に1stアルバム「夏の魔物」がポニーキャニオンさんから発売になります!無料のリリースイベントも都内で毎日のようにやっていますし、特典会もやっていますので、ぜひ来て頂きたいです!
成田
9月は、16日(金)に恵比寿リキッドルームでライブ(「『夏の魔物現象2016』10th
ANNIVERSARY BOM –BA-YE」)やるんですけど、それが一番大事ですね。フェスが10周年なのでそれに併せて東京でも10周年記念イベントをやろうという趣旨です。大槻ケンヂさん、人間椅子さん、大森靖子さん、ベッド・インさん、生ハムと焼うどんさん、吉田豪さんなど、ゆかりのある方みんなで集まって『魔物』の10周年とアルバム発売記念を兼ねたイベントをやります。あんな大きいところでやるなんて不安なんで絶対来てください!
チャン
来てくださーい!ゲストも豪華です!!
成田
10月には地元の青森でロックフェスを開催します!だから夏の魔物のアルバム『夏の魔物』を買って、10月1日(土)「AOMORI ROCK FESTIVAL‘16~夏の魔物」に来てほしいです。そして4年後のオリンピックでは、キャプテン翼、マリオ、ハローキティ、ドラえもん、中田ヤスタカさん、椎名林檎さんに並べるように頑張って行きますので応援よろしくお願いします!
――お忙しいところありがとうございました!
(取材・文/構成:白井良資)
◆アルバム情報
メジャー1stアルバム「夏の魔物」(9月7日発売、ポニーキャニオン)
・初回限定盤A(CD+DVD) ¥3,500(税込)/PCCA-04414
・初回限定盤B(2CD)¥3,500(税込)/PCCA-04415
・通常盤(CD
only)¥3,000(税込)/PCCA-04416
【収録曲】※全形態共通
01:恋愛至上主義サマーエブリデイ
02:魔物、BOM-BA-YE 〜魂ノ覚醒編〜
03:恋の天国はケモマモハート
04:爆裂レボリューション
05:SUNSET HEART ATTACK
06:世界は愛と夢で出来ている
07:東京妄想フォーエバーヤング
08:バイバイトレイン
09:ダーリン no cry!!!
10:どきめきライブ・ラリ
11:リングの魔物
12:未来は僕等の風が吹く
◆ライブ情報
夏の魔物ファーストアルバム発売記念「夏の魔物現象2016」10th ANNIVERSARY BOM-BA-YE
日時:2016年9月16日(金)
場所:東京都
LIQUIDROOM
開場:16:30/開演17:30
<出演者>
人間椅子 / 大森靖子 / 生ハムと焼うどん / ベッド・イン
/ 吉田豪 / 夏の魔物 / クロユリfrom夏の魔物 / 大槻ケンヂ/
and more
【チケットはこちらから】
http://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=D6180029
◆フェス情報
『AOMORI
ROCK FESTIVAL’16 〜夏の魔物〜 10周年記念大会』
日時:2016年10月01日(土)
会場:青森県東津軽郡平内町夜越山スキー場
<出演者>
夏の魔物withヒャダイン、曽我部恵一、大槻ケンヂ、人間椅子、BELLRING少女ハート、清 竜人25、藤井隆、POLYSICS、神聖かまってちゃん、忘れらんねえよ、向井秀徳アコースティック&エレクトリック、ROLLY、SCOOBIE DO、THE NEATBEATS、HINTO、バンドTOMOVSKY、ザ・チャレンジ、Wienners、DOTAMA、Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)、MOSAIC.WAV、SuG、アーバンギャルド、ベッド・イン、クリトリック・リス、早見優、こぶしファクトリー、バンドじゃないもん!、ゆるめるモ!、生ハムと焼うどん、ライムベリー、椎名ぴかりん、デスラビッツ、二丁ハロ、吉田豪、杉作J太郎、掟ポルシェ、久保ミツロウ・能町みね子、伊藤賢治、DJやついいちろう、DDTプロレスリング、クロユリfrom夏の魔物、and more…
【詳細はこちらから】
http://natsunomamono.com/ticket.html