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ユニバーサル思い出の復刻版『さらば友よ』、BDとDVDがセットの理由とは?

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ユニバーサル思い出の復刻版『さらば友よ』、BDとDVDがセットの理由とは?

2015年10月20日

NBC百瀬氏.jpg 「吹替の帝王」に代表される、地上波テレビ放送時の日本語吹替音声を収録した洋画ブルーレイが近年ブームとなっている。洋画メジャーが次々と同様のレーベルを立ち上げる中、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンはこの春から「ユニバーサル思い出の復刻版」を展開している。

 同社はこれまでに12タイトルを発売してきたが、このほど新たに2つのビッグタイトルのリリースを発表した。1つは、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが共演した名作クライムサスペンス『さらば友よ』。そしてもう1つが、官能ドラマの金字塔とも言える『エマニエル夫人』だ。いずれもテレビ吹替音声収録は初めて。そして『さらば友よ』は世界初のブルーレイ化という貴重な商品仕様だ。いずれも年末の12月18日に発売する。

 この商品企画を担当しているのが、同社マーケティング部の百瀬潤氏(=写真)。記者がテレビ吹替音声収録の商品について取材する際は、各社から素材集めの苦労話や興味深い裏話を耳にすることが多々あるが、「ユニバーサル思い出の復刻版」でもそんな情報が満載。今回のインタビューでは、発売の決まった『さらば友よ』と『エマニエル夫人』について百瀬氏に聞いた――。



『ディア・ハンター』等が人気

思い出の復刻版ラインナップ.jpg――まず「ユニバーサル思い出の復刻版」の商品仕様を教えてください。

百瀬 当社の所有する洋画の中でも人気の作品について、地上波テレビで放送された際の日本語吹替音声を収録し、ブルーレイでリリースしています。その際、ジャケットのデザインは、劇場公開当時のチラシのデザインを使用しています。さらに、特典として封入しているブックレットには、当時のSCREEN誌に掲載された劇場公開時の記事および、テレビ放送時の番組表などを載せています。特に、映画評論家・双葉十三郎氏の星取り表コラム「ぼくの採点表」を掲載しているのが売りですね。

――売れていますか。

百瀬 タイトルにもよりますが、おかげさまで『ディア・ハンター』や『死霊のはらわたⅡ』、『サイレント・ランニング』、『摩天楼はバラ色に』などは好調です。総じて商品の評判も良いので、嬉しく思っています。


英語版と仏語版は別映像

さらば友よ.jpg――そして『さらば友よ』ですが、これまでもDVDは出ていましたよね。

百瀬 直近では2012年5月に字幕のみのDVDを発売しています。

――今回の商品は、ブルーレイとDVDが同梱されています。通常「ユニバーサル思い出の復刻版」はブルーレイのみですが、なぜこの作品だけ両盤とも入っているのですか。

百瀬 『さらば友よ』は、実はインターナショナル・バージョン(英語版)と、フランス・バージョン(仏語版)の2種類が存在しています。ちなみに、2012年に発売したDVDは仏語版です。日本の地上波で放送されたものも、仏語版に野沢那智さん、大塚周夫さんの吹替をあてたものです。ところが、HD化された高画質の素材は英語版しか存在しないのです。今、「第三回 新・午前十時の映画祭」でこの作品が上映されていますが、これも英語版です。ですから、ブルーレイには英語版を、DVDには仏語版を収録しており、テレビ吹替音声もDVDにのみ入っています。

――英語版に日本語吹替音声を収録すれば解決するんじゃないでしょうか。

百瀬 私も今回初めて知ったのですが、英語版と仏語版は、微妙に映像が違うのです。実は、仏語版に後から英語をあてたのではなく、撮影現場で英語版と仏語版を2度撮りしていたそうなのです。カメラの構図は同じなので、英語版も仏語版も一見同じ映像に見えるのですが、背景にある車があったり無かったり、上映尺も違うなど、微妙に異なる映像なのです。ですから、仏語版にあてた日本語音声は、英語版には収録できないという事情があります。

――ブルーレイとDVDを同梱したのは、苦肉の策という感じですか。

百瀬 そうとも言えますが、仏語版のフランス語のテロップに愛着がある方も多いでしょうし、2つの映像を見比べるのはなかなか面白いと思います。テレビ吹替音声がDVDしか入っていないことを疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、当社としては、できる限りの映像素材を収録した、現時点での究極の仕様という気持ちで発売します。


高視聴率連発の『エマニエル夫人』

エマニエル夫人.jpg――『エマニエル夫人』も非常に知名度の高い作品です。

百瀬 地上波テレビ放送時には、異様な高視聴率を獲得した作品です。商品には、77年にテレビ朝日の「日曜洋画劇場」で放送された山口いづみさんの音声を収録しました。この77年放送時の視聴率が30.8%です。これは同枠歴代2位の数字です。続いて79年にテレビ東京の「木曜洋画劇場」で放送したところ、同枠で最高視聴率の22.5%となりました。

――すごい視聴率ですね。

百瀬 センセーショナルな映画なので、記憶に残っている方も多いと思います。作品の内容的に、今地上波で放送されることはなかなか難しいでしょうし、待望の商品化ではないでしょうか。過去に同作品のブルーレイは発売していますが、テレビ吹替音声を収録するのは今回が初めてです。

――音声素材はどのように集めたのですか。

百瀬 この作品に限らずですが、フィールドワークスさんにご協力頂き、一般の方から素材を提供して頂きました。その音声をクリアにし、収録しています。

――期待している方も多いでしょうね。

百瀬 フィールドワークスさんも、地上波で繰り返し放送された作品ほどファンの方がたくさんいるとおっしゃっていたので、需要は高いと思います。私も、当時ドキドキしながら観ていたことを思い出します。遠い記憶にあった彼女が、何十年ぶりかに戻ってきたような気分になれるのじゃないでしょうか。ぜひご期待ください!


取材・文/構成:平池 由典



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