興味津々、注目したくなる興行がある一方で、興味薄、あまり関心をもてないような興行もある。その2つからも、微妙にズレていく興行もないことはないが、総じて先の2つに分類できる。その際、作品の中身は全く関係ないし、ヒットしているから、関心がもてるというわけでもない。
10月20日から公開された「エクスペンダブルズ2」の興行成績は以下のとおりだが、さて先の2つのどちらに属するか。10月20、21日=全国動員13万5418人・興収1億6478万6000円(545スクリーン)。
ちなみに、前作「エクスペンダブルズ」は、2010年の10月16日から公開され、16、17日の2日間では、13万8299人・1億7652万3900円を記録している。こちらのスクリーン数は280で、最終興収は9億円だった。
見た感じ、何となく、後者の部類に入る印象が強い。というか、入ってしまう。理由は単純。興行自体に、意外性がないからである。ヒットと言えるような数字でもなければ、極端に悪いということでもない。前作の実績から、十分に想定できるスタート成績であり、難を言うなら、スクリーン数の多さからすると、満足度は前作より低いということだろう。
先の数字に一つ付け加えておけば、今回のパート2には前作にはない日本語吹替版があり、その上映館数が多くなっていることが挙げられる。ただ、それがあまり“機能“しなかったことが、数字の推移から見える。
前作の名誉のために言っておくなら、前作は興味がもてた。往年のアクションスター大挙出演のアクション“大作”が、アナクロになるのか、そうはならないのか。結果は、後者だった。とくにDVD市場での高稼働を入れれば、この時代に十分に通用する作品だったのである。
パート2は、DVD市場の今後の動向はともかくとして、興行の分野では前述したような理由で、エキサイトしない興行だった。本作の興行面での意味と役割は、前作で止まってしまっているように見えた。
差別化という言葉は、都合よく使われるが、ここでもあえて使わせてもらうなら、「エクスペンダブルズ2」の浸透にあたっては、前作との何らかの強烈な差別化が欲しかったと思う。これがあれば、結果はどうであれ、興味度は増したのではないか。私は、そう思うのである。
(大高宏雄)