インタビュー:(株)GyaO川邊健太郎社長
2012年01月23日
●「GyaO!」2011年の主な取り組み
【テレビ局との関係強化】 3月・MTVとの共同企画「REPLAY JAPAN~映像の力で、みんなに勇気を~」開始 ・関西テレビ「MOTEL(モ~テル)」ローカルバラエティ初の見逃し配信 4月・NHK「ドキてれ」開設 ・テレビ東京「鈴木先生」キー局初の実写版ドラマ番組3話無料見逃し配信 ・MTVと震災被災地支援チャリティー番組を同時に放送・配信 ・TOKYO MXと共同で上野動物園のパンダ映像を配信 7月・TBSドラマ「美男ですね」特集サイトで「イケメンコンテスト」実施 ・「MTV VIDEO MUSIC AID JAPAN」パフォーマンス映像配信 8月・映画公開記念でテレ東「モテキ」がキー局ドラマ番組初の全12話1日限り無料配信 12月・フジテレビTWO(CS)「あいのり2 セカンドシーズン」を同時配信
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【新サービス、機能強化など】 2月・Ooyala(ウーヤラ)社とYahoo!JAPANが業務提携 3月・アンドロイド端末に対応 5月・「GyaO!ストア」リニューアル ・ウーヤラ社の配信プラットフォーム「vipo(ビポ)」の販売スタート 8月・特集「映像で知る災害・防災」をリリース 12月・スペシャルカテゴリー「女子ナビ」をリリース
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スマートフォン視聴が開始時点の10倍に
――以前インタビューした際(「月刊文化通信ジャーナル」2011年6月号)、今後はスマートフォンの視聴が爆発的に伸びると仰っていましたが、現状はいかがですか。
川邊 凄く成果が出ています。2010年の12月7日にiOS向けのアプリを出して、11年春にAndroid向けも出しました。ストリーム数は開始時点の10倍で推移しており、11月は1千万ストリームを超えました。ヤフーのサービスは、概ね前年比6倍を目標としていますから、「GyaO!」はそれを上回っており、非常に良い形になっています。
半田 先ほど紹介したNHKさんの映像も、4月から11月でスマホでの視聴は5倍くらい伸びています。
川邊 NHKさんのコンテンツは5分程度の短尺なので、スマホとの相性が良いんですね。
――PCを含めた全体のうち、スマホでの視聴はどれくらいですか。
川邊 約10%まで来ています。現在は無料動画のみなので、2012年は早く課金対応もしていきたいと思っています。
――現状でのスマホでのビジネスは、バナー広告の販売による収益ですね。 川邊 今のところはユーザーのベネフィット(利益)を優先しているので、映像視聴中の画面には出していません。まずはコンテンツの充実化を進めていきたいと思っています。
――こうしたマルチデバイス化という点では、テレビ向けのサービスも予定されていますね。
川邊 春までにはローンチできるように準備を進めています。合法なコンテンツをマルチデバイス対応で提供するというのが我々のスタンスです。これがローンチしたら、この映像はPC、スマホ、テレビのどれで視聴することが出来るのか、アイコンを出すなどして分かりやすいUIにします。爆発力はスマホに期待し、テレビは最もハイエンドのお客さんに高いクオリティの映像を楽しんでもらうという位置付けにしたいと考えています。
体制整え中国市場再度挑戦へ
――昨年8月には中国に向けて字幕付きの映像配信実験を実施されました。こちらの成果はいかがですか。
川邊 正直なかなか難しいということが分かりました。中国のSNSサイト「RenRen(人人網)」で紹介することで、ある程度は視聴されましたが、ビジネスのボリュームにはまだまだ足りない。これからあの市場でやっていくには小手先だけでは駄目で、良いコンテンツを相当なボリュームで出していかなければいけないと考えています。
――難しいとは言っても、確実に成長市場ではある訳ですから、作戦を練り直しているというところですね。
川邊 人脈はできましたので、次は字幕を付ける業者をどこにすべきか、どのタイミングで本格的に着手すべきか、といった部分を検討している段階です。多くのコンテンツプロバイダー様とお話してボリュームを増やし、なるべく早いうちにやりたいと思っています。