小津安二郎監督生誕110年・没後50年で
「蓼科日記」刊行など様々な記念事業展開
2013年05月27日
松竹は今年、『晩春』('49)『東京物語』('53)など日本を代表する小津安二郎監督の生誕110年・没後50年を迎えるに当たり、「小津安二郎生誕110年・没後50年プロジェクト」を立ち上げて様々な記念事業を展開していく。
同社はこれまで、小津監督では生誕90周年(1993年)、生誕100周年(2003年)で実施しており、今回が3度目のプロジェクト。90周年では東京国際映画祭と連動、ヴィム・ベンダース監督らにインタビューした『小津と語る』(監督田中康義/松竹)の製作をはじめとした小津監督作品が上映された。100周年では、松竹が保有する小津作品を網羅したDVD-BOXの発売やニューヨーク映画祭での上映、NHK-BSでの全作品特集放送等が行われて来た。
今回は、『彼岸花』('58)『お早よう』('59)『秋日和』('60)『秋刀魚の味』('62)の4作品を、東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)と共同でデジタル修復を行うもの。その第1弾となる『秋刀魚の味』は、現在開催中の第66回カンヌ国際映画祭クラシック部門で上映。『彼岸花』は第70回ヴェネツィア国際映画祭(2013年8月28日~9月7日)でワールドプレミア上映される。
もう一つの柱が、小津作品の脚本家である野田高悟氏が、昭和29年(1954年)8月から昭和43年(1968年)9月まで綴った日記「蓼科日記 抄」を小津監督関連のみピックアップして一冊の本にまとめるもの。同刊行会(発起人代表:山内静夫)が編纂し、今夏刊行する。
小津監督の後期作品で同プロジェクトの総監修を務める山内静夫氏は、「『蓼科日記 抄』は小津に関する最後の大きな資料。この機に発表されることは極めて意義のあることだと思う。蓼科は、野田高悟さんの山荘があり、小津さんと住まわれて脚本を書かれていたんですが、その日常がこと細かく描かれています。つまり脚本を書くことと生活をすることが一体であり、“小津調”の原点がそこ(『蓼科日記 抄』)にあると思う」と話している。
同プロジェクトは、この他、山田洋次脚本・演出の舞台「東京物語」公演(13年7月13日~21日京都南座/7月26日知立市文化会館 他)や小津作品の特集上映(一挙上映「生誕110年・没後50年巨匠 小津安二郎の世界」6月22日~7月19日、会場:大阪シネ・ヌーヴォ/「全作特集上映」11月23日~14年1月13日、会場:東京・新保町シアター)、小津監督をテーマに描く新たな映像作品の制作。東京都江東区・深川(生誕の地)や神奈川県鎌倉市(後期の活動拠点)など小津監督ゆかりの地での上映・イベントなど数々の記念事業が展開される。
(取締役会長:指田 洋)