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シネコン業界、再編が急ピッチに

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シネコン業界、再編が急ピッチに

2013年03月05日

 シネコン企業の業界再編が急ピッチである。

 まず昨年4月、投資事業者のアドバンテッジパートナーズ有限責任事業組合(代表:笹沼泰助、リチャード フォルソム)が「ユナイテッド・エンターテインメント・ホールディングス(株)」(代表:赤池敦史)を設立して、住友商事からユナイテッド・シネマ(20サイト・209スクリーン)を買収。

 イオンは、ワーナーブラザース・エンターテインメントが保有する「(株)ワーナー・マイカル」(61サイト・496スクリーン)の株式50%を取得し、イオングループ100%出資の完全子会社化。3月1日付でミラード・L・オゥクス氏らワーナーの役員全員退任し、ジェリー・ブラック代表取締役会長が社長兼任など新体制をスタートさせた。

 さらに、ユナイテッド・シネマの親会社であるユナイテッド・エンターテインメント・ホールディングス(株)は、2月28日付で(株)角川グループホールディングス(代表:佐藤辰男)と戦略的業務提携契約及び株式譲渡契約を結び、3月29日付で角川シネプレックス(12サイト・106スクリーン)を買収した。

 ここ数年の日本の映画興行は2010年(年間動員1億7435万8000人・興行収入2207億3700万円)をピークに、翌年は震災の影響から動員1億4472万6000人・興行収入1811億9700万円と大幅ダウン、2012年は年末に公開されたアニメ2本(『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(53億円)、『ONE PIECE FILM Z』(68億5000万円)に支えられ、動員1億5515万9000人・興行収入1951億9000万円と持ち直したものの、スクリーン数は10年の3412をピークに、11年3339、12年3290と年々減少し、興行各社は生き残りをかけた戦略・戦術が求められている。

 現在、映画興行のリーディングカンパニーは、東宝グループとイオングループ。日劇やスカラ座などの一般館を含み共同経営を除いたTOHOシネマズ(株)が567スクリーン(グループ全体で580スクリーン)を保有。一方、ワーナー・マイカル(株)とイオンシネマズ(株)(13サイト・103スクリーン)全体では74サイト・599スクリーン。一般館を保有する東宝グループに対し、すべてシネコンのイオングループとの違いはあるものの両グループはほぼ拮抗した規模となっている。

 今回のユナイテッド・エンターテインメント・ホールディングス(株)による角川シネプレックス(株)の買収により、両社の合計は32サイト315スクリーンとなり、従来業界3位だった松竹マルチプレックスシアターズ(一般館・共同経営を含み33サイト)を抜くことになり、今後、SMTやティ・ジョイ、東急レクリエーションなどシネコン各社の動向が注目される。

(取締役会長:指田 洋)

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