インタビュー:野田助嗣松竹(株)専務取締役映像本部長
2010年01月13日
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山田洋次監督「おとうと」は後世に残る傑作 映像は中間期増収増益も下期は厳しい 「釣りバカ日誌」正月公開でファイナルに
松竹が10月14日に発表した「平成22年2月期第2四半期連結業績」は、売上高464億9300万円、営業利益19億4500万円、経常利益12億3700万円、四半期純利益8億円1700万円と前期が赤字決算だったこともあり、大幅な増収増益を計上した。しかし、9月以降「カムイ外伝」「引き出しの中のラブレター」と予想を下回る出足になった下期の厳しい現状と見通しについて、3年目を迎えた映像本部・編成局体制の課題と展望を合わせて、映像本部長である野田助嗣専務取締役に聞いた――。
中間期の映像は増収増益 ―― 「平成22年2月期第2四半期」の連結業績は、会社全体もさることながら映画関連事業が売上高253億3千万円、営業利益5億2千万円と増収増益を計上しました。前期に続く「おくりびと」のヒットが挙げられますが、その要因はなんでしょうか。野田 そうですね。「おくりびと」は昨年12月末時点で興収29億円のヒットを記録していたのですが、新宿ピカデリー他一部劇場では長期ロングランを続けていて、2月下旬の日本アカデミー賞と米国アカデミー賞の発表を控えた段階では、100スクリーン近くの劇場を確保していました。その結果、日本アカデミー賞では最優秀作品賞それから米国アカデミー賞では外国語映画賞という2つの大きなタイトルを受賞し、それがものすごい追い風になったわけで、今年に入ってからも約35億円の興収を上げました。それに、3月に公開した日活さん、日本テレビさんと一緒に手掛けた「ヤッターマン」(3・7)の実写版は、30億円は狙えるだろうと考えていましたが、実際に31億4千万円と予想通りの数字を出し、期初に30億円の大台が2本並び、いいスタートが切れました。そのあとのワーナーさんとの共同配給「GOEMON」(14億3千万円/5・1)は当初見込みを下回ったのですが、100万人動員し、「60歳のラブレター」(5・16)も、狙っていた2桁台には届きませんでしたがターゲットのシニア層を確実に動員し、8億7千万円という結果で、上半期は予定通りの数字を残すことができました。
―― 「HACHI 約束の犬」(8・8)も19億を挙げましたね。野田 20億予算の中で19億5千万と大変健闘しました。反省点としては、「鴨川ホルモー」(4・18)と夏休み公開したアニメの「ヤッターマン」(8・22)の2作品が我々の考えた通りの数字をあげられなかったことですね。全体的には今申し上げた通りで、我々の意図したところ、予想した数字に限りなく近づけたことで第2四半期としては増収増益となったわけです。連結のグループ会社では、松竹マルチプレックスシアターズ(略称:SMT、以後SMTと表記)と衛星劇場の2社が売上も利益も大きいのですが、ご存知のように、SMTは、オーバー・スキームの中で、先々期(平成19年1月~12月)と先期(平成20年1月~12月)と続けて収支的に大変苦戦してきましたが、10ヵ月ぐらい前から本社内に「SMT改革プロジェクトチーム(PT)」を立ち上げて、様々な改革を手掛けて来たことも加わり、少しづつ回復してきています。
―― 具体的にはどんな改革を実施されたんですか。野田 独自でできるコストダウンについては優先的に実施し、並行して、一番大きな、大家さんとの家賃の見直し交渉等を行っています。これにより、SMTの収支は当初の目標にはまだ達していませんが、徐々に改善の効果が出て来ており、上半期は我々が立てた予算をはるかに上回っています。
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