特集:DRP「デジタルラジオ・シンポジウム」開催
2008年02月19日
チープなテレビになるつもりはまったく無い 予想上回る273名来場で2時間オーバーの盛況
デジラジは厳しい状況を乗り切る唯一の道!
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チープなテレビになるつもりはまったく無い 予想上回る273名来場で2時間オーバーの盛況
デジラジは厳しい状況を乗り切る唯一の道!
(社)デジタルラジオ推進協会(DRP)は2月15日、シンポジウム「2時間で完全理解!~マルチメディア放送時代におけるデジタルラジオ~」を文化放送メディアプラスホールで開催した。同協会によるこうしたシンポジウムは初の試み。全国のラジオ社、受信機メーカーなど147社273名もの来場者はホールに入りきらず第2会場、第3会場を用意するほどで、時間も予定の2時間をオーバーする盛況となった。
会場にはデジタルラジオを含めた2011年以降のマルチメディア放送の在り方を検討する総務省懇談会メンバーの伊東晋・東京理科大教授や、そのマルチメディア放送の新サービスを研究するISDB‐Tマルチメディアフォーラムの岡村智之幹事長らの姿もみえた。
会場の外では、携帯電話やUSB接続型端末によるデジタルラジオのデモンストレーションも実施された。
シンポジウムは2部構成で、第1部ではDRP亀渕昭信理事長の挨拶のほか、総務省の河内正孝・情報通信政策局官房審議官と、電波監理審議会会長の羽鳥光俊・中央大教授による基調講演が行われた。
亀渕 昭信 DRP理事長(ニッポン放送相談役) . 今までのラジオの常識を覆すデジタルラジオ。ラジオといってもラジオじゃない。じゃあテレビかというと決してテレビでもない。
現在ハイテク機器のほとんどには液晶のパネルが付いている。液晶の付いていないハイテク機器は不安だなという雰囲気さえある時代だ。これからの若い方の考えるラジオは画面がなくても話について行けるけれども、何かチラッと見ると得する情報が得られる―― そんな時代がもう来ているのではないか。例えば音楽番組で新しいアルバムの紹介をする。10曲入っていてそれをDJが10曲解説するのは、興味のない人にとってはまったく退屈な時間になる。しかし液晶パネルがあれば10曲の解説はテキストで行え、ほとんどのリスナーは退屈しないで済むという状況が生まれる。そこで有料のダウンロードも含め新しいビジネスチャンスも生まれる。そうすれば新しいラジオ、元気なラジオが誕生するのではないか。
しかし動画も出せるからと言って、スタジオの様子を映すだけのようなチープなテレビになるつもりはまったく無い。そうなってはいけないと思っている。そういった決意を持って我々は頑張っている。
現在DRPは正会員16社、賛助会員54社を以て運営されている。本日見えている皆様で関心を持って協会のメンバーとなっていただければ、新しい情報をどんどん発信していく。
基調講演
河内 正孝 総務省情報通信政策局官房審議官 . ワンセグの普及が順調に進んでおり、携帯端末向けのマルチメディア放送を受信する基礎はできあがった。過去、色々なメディアが生まれては消えている。新たなマルチメディア放送は、視聴者ニーズをどう捉えるかが重要になるだろう。
制度面については、細々なことをやりすぎるとメディアが育たないので、「放送」という枠は守りながらも、できるだけ柔軟にしたい。そして具体的なビジネスモデルの熱意に押される形で、総務省が決められればベストだ。しかし現段階では受け身なローカル局などモヤモヤしている感じがある。「せっかくの空いた電波の枠を使い倒す!」というような意気込みの“骨太のアイデア”を期待している。
基調講演
羽鳥 光俊 電波監理審議会会長(中央大学教授) . デジタルラジオを含むマルチメディア放送では、チャンネルの切換を快適に行えるよう、受信機に復号器を複数台内蔵することが好ましい。また、アーキテクチャ(ハードウェアの基本設計)が同じなら、受信機をファームウェア化(専用ではなく、ユニバーサルなハードウェア・ソフトウェアで信号処理を行うこと)しておけば、ソフトウェアを放送波やインターネットからダウンロードすることにより、新しいサービスに対応することができる。
アメリカで実用化されているクアルコム社の「メディアフロー」方式が日本でも提案されている。ISDB‐Tsb(デジタルラジオ)方式か、メディアフローか、両方共存とするかは、ニーズの大きさとビジネスの可能性、周波数割り当て等の観点から、(携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する)懇談会で十分検討して欲しい。
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