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インタビュー:岡村正郎(株)ワーナー・マイカル専務取締役

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インタビュー:岡村正郎(株)ワーナー・マイカル専務取締役

2007年02月20日
ワーナー・マイカルに次代を担う新専務誕生
 創立15周年、50サイト目で大きな節目迎える
 シネコン生存競争にどう生き残りを図るのか―ワーナー・マイカルに次代を担う新専務誕生
創立15周年、50サイト目で大きな節目迎える
シネコン生存競争にどう生き残りを図るのか―

 ワーナー・マイカルは今年(06年)5月31日付で役員人事を発令、岡村正郎氏が常務取締役から専務取締役に昇格した。
 それに伴い、専務取締役として長きにわたり同社を率いてきた生嶋洋治氏は退任し顧問に就任、経営の第一線から退いた。
 ワーナー・マイカルにおける専務取締役は、実務面でのトップのポスト。同社の代表取締役会長はイオン(株)常務執行役の鍜治田努氏、代表取締役社長はワーナー・ブラザース・インターナショナル・シネマズ・インク社長のミラード・L・オゥクス氏。両氏とも非常勤であり、実質的には専務取締役が業務全般を統括する役割を担う。
 岡村氏は常務取締役だった05年5月、生嶋専務を補佐するデピュティ・マネジングディレクターの役職に就いた。この時から1年をかけて、経営の実権を生嶋氏から岡村氏に移していたようだ。
 ワーナー・マイカルは専務交代があった今年、期せずして15周年(91年10月8日創立)と50サイト目(大日/9月21日開業)という、会社としての1つの区切りを迎えた。
 同社の新時代を舵取りする岡村専務の手腕には、業界内から高い関心が寄せられている。シネコン業界の荒波をどう乗り切るのか、岡村専務に聞いた。

■15周年50劇場で謝意

――ワーナー・マイカルは今秋、創立15周年と50サイト目という節目を迎えました。この15年を振り返って、率直な感想を聞かせてください。

岡村 感慨深いものがあります。映画産業自体は古く、松竹が111年、東宝が74年、東映が57年の歴史がある中で、15年といえば短いものです。でも、製作や配給を持たないシネコンという興行だけで、よく頑張ったと思います。
 映画人口はピーク時に11億人でしたが、当社1号店の「海老名」(93年4月24日)が開業した93年は1億3千万人で、ピーク時の9分の1しかありませんでした。その状況で、東京都心から遠く離れた郊外の海老名に映画館を作りました。私はマイカル側の人間として、海老名の開業時に居合わせましたが、開業レセプションに出席した方々の10人のうち9人は“この映画館は、1年後に残っているかどうか”と危惧されたと思います。
 
■スクリーン毎年5%増

――シネコン業界の現状をどう捉えていますか。

岡村 時代は変わりました。かつては競争相手がなくて、出店してマーケットを刺激して、お客様に認知・ご支持していただいたわけですが、皆さんご存知のとおり、過当競争に入っていきます。
 現在は全国に3000スクリーンあります。年間の映画人口が1億6千~7千万人で大きく増えていないのに、スクリーンの供給は、毎年5%増える見込みです。競争がない時は、映画が良ければ劇場も良い、逆に映画が悪ければ劇場の数字も落ちるという図式でした。しかし、今後はマクロで見ると5%ずつ、1スクリーン当たりの動員が減るという時代です。
 まちづくり三法が改正され、来年(07年)の秋に着工していなければ、基本的には大型の郊外型SCは出店できません。来年秋に着工、再来年に開店する案件はそれなりの数があるはずで、ここ2~3年でかなりの数のシネコンが新設されると予想され、それが毎年5%ずつのスクリーン増加の見込みとなるわけです。

――先ほど岡村さんの話にもありましたが、ここ数年は年間の映画人口は1億6千~7千万人で推移しているのが現状で、劇場の売上・利益が薄くなっています。今後、映画人口が飛躍的に増える可能性はありますか。

岡村 業界全体で2億人を目標に頑張っている中で、当社としても微力ながら2億人達成に貢献できればと願っています。
 我々が思っているのは、作品だけではなくて「映画のある生活」、週末に何をするかという時に、家族と食事をしたり、買い物をしたりする中で、映画を何とか必須アイテムにできないかということです。そのような組み込み方をしないで作品だけに頼っていたら、DVDやCATV、ネット配信など映画の見方も多様化していますから、必然的に厳しくなっていきますね。
 やはり映画館で見るという特別な楽しみを、お客様の生活に根づかせたいと思います。

■7年周期で改装着手

――現在抱えている課題は何ですか。

岡村 物理的な劇場の老朽化と、立地の陳腐化の2つがあります。老朽化に対しては非常に気をつけていて、7年間に1回、オープン時の内装投資額の4分の1の金額を、強制的に割り当てて改装するようにしています。損益が良くても悪くても、劇場が少々きれいでも汚くても関係なく、必ず改装を行います。ですから、物理的な老朽化には対応できます。
 ただ立地の陳腐化は難しいですね。劇場を作ってしまった以上は、契約期間を終えるまでは、そうそう撤退したり、場所を変えたりはできませんから。
 全体の中でどのように最適化していくかを考えています。大きな収益を出す劇場、これから上り調子の劇場、少し疲れてきた劇場、だいぶ疲れてきた劇場。色々な劇場がありますが、経営はそのバランスで成り立っていきます。特定の劇場の収支にスポットを当てることもありますが、会社全体の見地から状況を捉えていくことが大切です。


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