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トップインタビュー:佐野哲章(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント映画部門日本代表

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トップインタビュー:佐野哲章(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント映画部門日本代表

2009年03月31日
ハリウッド映画の衰退なんて絶対認めない
米SPE本社と丁々発止、洋画は手を抜いてない
記事「陰るハリウッド」の衝撃、流れは変わるのか





















 佐野哲章氏が、洋画への愛を熱く語った。明快な論理、戦略、展望、そして迫力。そして何にもまして映画人口の拡大が視野に入る。さあ、どこまで疾走できるか。


本誌 本誌では、佐野さんには2006年の2月号でお話を聞いています。ソニー・ピクチャーズに入られてすぐだったんですが、すでに今年が4年目になりましたね。

佐野 そうですね、確かに4年目になるんですが、すでに10年ぐらいいるような気がするんですよ。それはいろいろ理由があると思うんですけれども、まずソニー・ピクチャーズに来る前から、ソニーの人たちをよく知っていたということがあります。だから全く新しい所という感じがしなかった。今までのスタッフじゃないわけですから、もちろん、最初はとまどいがありました。一方で、宣伝本部長には旧知の深沢恵が来てくれたことも大きかった。ブエナビスタで一緒だった佐藤和志が今、営業本部長をやってくれてることもそうです。そういう意味では、よりパワーアップした体制を作ることを会社が許してくれました。やはり会社の価値というのは、もちろん一番は人なんですけど、いくらいい人ばっかり集まっても、作品がないと駄目。昔言ったことがあるんですけど、“4つのP”が大事だと。まずは映画会社というのはPEOPLE=人で、その人たちが扱うのはPRODUCT=作品ですよね。じゃ、どういう人かというとPASSION=情熱のある人で、この3つのPがあるからこそ、最後にPROFIT=利益が出る。そうした4つのPが揃い始めたのが、今のソニー・ピクチャーズだという気がするんです。

本誌 佐野さんは、3年前の本誌でこういうことをおっしゃられている。「ソニー・ピクチャーズというのは4種類の人たちがいる。コロンビア映画時代からの人、ソニー・ピクチャーズ時代からの人、ソニー本体から来ている人、あとは私みたいな外様、よそから来た人です」と。おそらく、みんな一丸となって力を合わせていこうということを言っていたと思うんですけど、この3年ほどを見ていると、だんだん佐野さんの色が強く出てきている印象がありますね。

佐野 まあ、あるかもしれません。自分じゃわからないんですけど。ただ、今大高さんがおっしゃった4種類の人たちは正に今も、力を合わせて頑張ってくれていますよ。

本誌 もちろん、そうです。

佐野 毎週月曜日、10時半から――僕が入る映画部門全体のミーティングというのは、週1回だけなんですよ。それ以上やる必要はないと思っているんで、毎週月曜日10時半から、長くて1時間15分ぐらい、通常1時間で終わらせます。先週の各部門からの報告をみんなで分け合って、試写室を使ってやるんですけどね。で、今週から来週にかけてどういうことがあるか、来日は誰々が来るとか、どういうパブが出るのか、どういうことに今悩んでいるかっていうのを、本当にオープン・ディスカッションで行う。アルバイトの人たちもその会議に出ます。そこでよく言うのは、特に今こういう不況下で、仕事がない人、働きたくても働けない人がいる中で、本当に映画業界の人間って幸せだなと。だから、だんだん佐野の色に染まったというよりも、目標が一つに固まってきたのかなと思います。実は昨日も社員に言ったのですが(もうたぶん何回も言ってるんで、社員の人は聞き飽きたかもしれませんが)、自分のやりたいことと、やらされてやらなきゃいけないこと、それと能力的にできることが一致しているんですよ、みんな。そんな同じ人たちが集まってるから、当然結団力が強くなりますよね。そういう意味では、ソニー・ピクチャーズは、いろんな意味で今年は本当にナンバー1を狙えるように、組織も含めて、なったのではないかなと。

本誌 ソニー・ピクチャーズが、佐野さんが映画部門の日本代表になって一番変わったところはどこでしょう。

本社と丁々発止

佐野 いや、自分でなかなかわかりません。まず自分が、よく3年もったなっていうのが正直な気持ちです。ディズニーとは、文化も違いますし、ディズニーみたいにアメリカに本社があるんじゃなくて――ソニー・ピクチャーズももちろんアメリカに本社があるんですけど、本社の本社が日本の品川にある。一番変わったのは、アメリカとすごく連絡が密になったような気がします。今までけっこうアメリカも直接指示を出さなかったり、こっちもアメリカと丁々発止してなかったような気がするんですね。

本誌 なるほど。じゃあ、今は丁々発止をかなりやっている。

佐野 この前に行ったラインアップの発表でも、丁々発止の中から本社でも見られない映像を持ってくることができたわけです。一番苦労したのは、例えばローランド・エメリッヒ監督の「2012」。――あれはまだコンピュータ・グラフィックになる前の、絵コンテというか、アニメになっているでしょう。本来製作者はいやがるんですよ。なぜかというと、ちゃちく見える。でも、深沢が「大丈夫だから!」と。「みんなプロだから! 信用してください」と。今までだったら、絶対いい所しか見せないんですね。あんな長く未完成の映像を出してくれないでしょう。

本誌 ところで、佐野さんが来られて以降、年間の興収では06年が146億3千万円、07年が162億7千万で、これが記録になったということですね。昨年は作品がもう少しということもあったんでしょう、68億7千万円でした。ラインアップの席上では、ちゃんとした数字はおっしゃらなかったと思うんですよね、「今年、これだけいくんだ」という。

佐野 誰にも言ってません(笑)。

本誌 かつてないようなラインアップが揃いましたから、当然記録を作らなくてはいけないでしょう。

佐野 最低はこれだけだけど、うまくいけばこれ、という上限と下限っていうのがあるじゃないですか。その間を取って、300億円が狙えるラインアップだと思います。絶対に実現可能な数字だと思うんですよね。ビッグ3とは敢えて言わないですけど、大風呂敷じゃなくて100億円いくかもしれないと本当に思える作品は、3本あると思うんです。「天使と悪魔」と「ターミネーター4」、それと実は12月に予定している「2012」ですね。

本誌 そういえば、「2012」は、当初予定から遅くなって、正月公開になりましたよね。

佐野 僕より知ってるじゃないですか(笑)。アメリカが、11月13日公開になった。CGが間に合わなかったこともありますが、その時期は対抗作品がないんですね。どうせ伸ばすんなら、そこまで伸ばしてしまえと。「ターミネーター4」と「天使と悪魔」は、前作も含めて、ある程度読めます。「2012」は未知数なので、夏じゃなくて正月になったことで、自分自身ではうれしいんです。興行会社にはご迷惑をかけるかもしれませんが、むしろ興行会社に恩返しできると思うんです。この映画は「アルマゲドン」にしたいなと。「アルマゲドン」が12月12日の公開だったんです。あれは135億円いったんですよ。

本誌 すごい興行でしたからね。これは佐野さんがディズニーにいたときの最高記録ですか。

佐野 今でもディズニーの記録です。だからこれは“夢をもう一度”じゃないけど、もう一度目指したいんです。普段、僕とか深沢は、本社にはにあんまりクリエイティブなことをお願いしないんだけど、この映画に関しては「お願いだから、感情が高ぶるような、涙を誘うような音楽を入れてくれ」ってお願いした。エアロスミスのあの「I don't want to miss a thing」っていう歌、素晴らしかったじゃないですか、「アルマゲドン」の時の。

本誌 正直、100億円を超える洋画が少なくなってきたなかで、同じ会社が年に3本も100億円超えを出すのは大変なことだと思います。その背景として、米映画の不振ぶりが取りざたされていますね。そのあたり、今日はそうした洋画の現状についてお話を聞きたいんです。今の洋画の落ち込みですね。どう考えていますか。



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