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トップインタビュー:依田巽東京国際映画祭チェアマン

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トップインタビュー:依田巽東京国際映画祭チェアマン

2008年10月31日


もてなしの心の通じる映画祭にしたい
3年間の条件で就任、3大映画祭に次ぐ
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 今年の東京国際映画祭はホスピタリティ(もてなし)」と語る依田チェアマン。そのために時間と費用をかけ催し物も充実し多くの人が参加して喜んでもらいもてなしの心が通じる映画祭として昨年比で10~20%増の動員を目指すという


3年間の条件で就任

 ――今年の3月末に東京国際映画祭のチェアマンに就任されたわけですが、どういう経緯で就くことになったのですか。

依田巽東京国際映画祭チェアマン 私が映画業界に足を踏み入れたのは1999年、ギャガ・コミュニケーションズの社外取締役に就いてからです。4年前に代表取締役会長に就任し本格的に映画業界に携わってきたのですが、就任要請があり、海外ビジネスを長くやってきた経験を国際映画祭に生かせるのではないかと、3年間の条件でお受けしました。この3年間ホップ・ステップ・ジャンプできちんと結果が出せると判断したわけです。

 ――昨年の東京国際映画祭期間中に、私どもは次のチェアマンは依田さんという話を聞いていたのですが、角川さん(歴彦前チェアマン)から要請されたんですか。

依田 角川さんも含めてですが、基本的にはユニジャパンです。財団法人日本映像国際振興協会と社団法人日本映画製作者連盟の関係で、昨年就任要請を受けたわけです。オフィシャルな就任は今年の3月31日付だったのですが、昨年11月の理事会で内定はしていました。

 ――第21回東京国際映画祭は、10月18日から開幕と目前に迫っているのですが、初のチェアマンとしてどんな映画祭にされるわけですか。

依田 国際映画祭ですから、やはり海外との人の交流を強化し、海外からも多くのお客様が集まる映画祭にしたい。そして世界から優れた作品が集まってくれば自ずとマーケットのTIFFCOMも充実してくると信じて必死で取り組んでいます。

 ――今年5月のカンヌで、第21回東京国際映画祭の開催概要を発表されましたが、カンヌでの反応はいかがだったのですか。

依田 非常によかったですね。カンヌで今年のパブリシティのスタートを切ったのですが、東京国際映画祭がカンヌでレセプションを開催したのは初めてで、「JAPANやTOKYO」というキーワードは訴求力があり、大変多くの方に集まってもらえました。ランチの時間でしたが、31ヵ国から集まってくれました。

 ――マスコミ関係が出席したのですか。

依田 ええ。それからいままで東京国際映画祭と共にTIFFCOMに出展した方や、各国の映画祭関係者たちです。東京国際映画祭の新しいスタンスと方向性をきちんとお伝えしたいと思ってご招待した方に大勢参加していただきました。

 ――著名人なども来られたのですか。

依田 カンヌ映画祭のプログラミング・ディレクターや釜山映画祭のフェスティバルディレクターらが来ていただき、ステージに上がってお話しをしていただきました。

3大映画祭に次ぐ

 ――東京国際映画祭をカンヌ、ベネチア、ベルリンに匹敵する映画祭にしたいというお話しをされていましたが、具体的に今回どういうことをされるのでしょうか。

依田 決してカンヌやベネチア、ベルリンと同じ規模にするという意味ではないのです。カンヌはもう61回開催していますし、ベネチアはもっと古く今年で65回目を迎えました。しかも季節的にカンヌは5月であり、ベネチアは9月、ベルリンは2月の開催です。東京は10月と一年の一番最後で、しかも地理的にもファー・イースト、極東ですからね。ですから決して規模ではなく、良質な作品が集まり、そして確実にビジネスに結びつくという信頼感、期待感の持てる魅力ある映画祭にするという意味で、「カンヌ、ベネチア、ベルリンに次ぐ」映画祭にしたいと申し上げたのです。

 ――従来に加え、何か新しいプログラムを入れたりしたのですか。

依田 ええ、今回基本的に東京国際映画祭が変わりサムシング・ニューという意味において、テーマに環境を掲げました。グリーンをテーマカラーとし、グリーンカーペットを創設し、新しい試みとして「natural TIFF」を創設しました。その「natural TIFF」は自然と人間の共生をテーマにした作品の新部門です。エコ、環境といっても決して温暖化やCO2という論争を呼ぶような特定の問題を取り上げるのではありません。私たちは映画人として、映画を作る時は、必ず美しい地球を背景に撮影するわけで、そういう映画人特有の環境、地球に対する思いというものはあると思います。そこで、映像を通じて自然環境への意識が高まるよう呼びかけていくのが我々映画人の使命ではないかと考え、東京国際映画祭がメジャーな映画祭として、恐らく初めて本格的に「環境」にコミットしたわけです。

 ――具体的に、その部門での作品の出品、応募はあったのでしょうか。

依田 ええ、非常に多いです。同部門としては、新作10作品、旧作・名作17作品を上映します。多岐にわたる角度から見たエコロジー、あるいは環境の映画ですから、必ずしもドキュメンタリー的な映画だけではなくて、ドラマもあります。そのドラマの中でも、環境を意識した、本来の地球の美しさを描いた作品もあり、いろいろな切り口から作品を選んでいます。もう一つは、「natural TIFF」のみならず、コンペティション部門も含め東京国際映画祭の主要部門で上映する新作の中から、自然環境、エコロジーをテーマにした優れた作品に「TOYOTA アース・グランプリ」を授与します。また日本あるいは海外からも環境問題について詳しい先生方をお呼びして、カンファレンスをしたりといろいろな催し物もあります。

 ――「TOYOTA アース―」は、コンペティション部門の東京サクラグランプリと同じ形式のものですか。

依田 「東京・サクラ グランプリ」はコンペティション部門のみから選出されますが、「TOYOTA アース・グランプリ」はテーマを環境・エコに絞る一方で主要部門の新作から選びます。トヨタ自動車様にご支援いただき立派な賞を創設できました。

 ――賞金もつくのですか。

依田 ええ、賞金とトロフィーも考えています。「TOYOTA アース・グランプリ」とは直接関係がないのですが、「環境」にちなんだ取組みとしては先程の「グリーンカーペット」の後、「レッドクリフPart?」(監督ジョン・ウー)を特別招待のオープニング作品として上映した後、特別に「グリーン・タイ晩餐会」をやろうと考えています。今、日本の景気が低迷している時ですから、決して華美にやるつもりではなくて、グリーンというテーマで映画業界が音楽、ファッション、食文化まで踏み込んで、海外からも多くのお客様をご招待し、いろいろな切り口から考えられた晩餐会をやろうと思っているのです。参加した方が、「ああ、なるほどよくわかった」と当映画祭の主旨を理解していただき、来年、再来年のステップ・ジャンプにつなげていく、一つのきっかけにできればと思っています。

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