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トップインタビュー:椎名 保 角川エンタテインメント代表取締役社長

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トップインタビュー:椎名 保 角川エンタテインメント代表取締役社長

2007年12月05日
勝負は北京オリンピック後だ!

  カッツェンバーグの厚い信頼を得てDW作品を配給
  新宣伝体制も整いグループの総合力の発揮を目指す
  DVD市場のV字回復へ合わせたその戦略とは─


 2004年、角川グループが保有する豊富なコンテンツをまとめてビデオ・DVDの販売を一手に引き受ける“戦略的な子会社”として発足した角川エンタテインメント(以下、角川E)。07年9月末までにレンタル市場に870タイトル、セル市場に935タイトルの作品を送り出し、メジャー級の成長を見せている。
 順調に市場拡大してきたDVD市場も昨年初めて前年実績を割り込み(日本映像ソフト協会発表)、市場の今後、パッケージビジネスの将来性が不安視されはじめてもいるが、椎名社長は今春のラインナップ発表会で、「この3年間、とにかくこの市場に入り込もうとタイトルを出してきたが、本当にこれで良かったのか」と振り返りつつも、「全体で67百億円のビデオ・DVD市場を我々が支えている。常に何か新しいことはこの巨大な市場から始まり、映像業界のリーダーシップを持っている。前進あるのみ」と力強く語り、まだまだこの市場は拡大できるとする。
 映画・映像業界の再編が急速に進む中で、椎名社長は角川グループの総合力をいかに発揮しようと考えているのか。その戦略を聞いた―。


体質強化にかける時

―現在、アスミック・エース(以下、アスミックA)の取締役会長や角川映画の代表取締役専務でもありますが、今回は角川Eの話を中心にお聞きしたいと思います。まず、ここまでの業績についておさらいさせて貰いたいのですが。

椎名 1年目は売上50億円、2年目は152億円、3年目134億円で、今期(07年4月1日~08年3月31日)予算は165億円予定。大体ビデオの売上で150億円なんですが、劇場配給と合わせるとそれくらいになります。

―前期は「涼宮ハルヒの憂鬱」が、今期は「らき☆すた」とアニメシリーズが売上に大きく貢献していますね。

椎名 「らき☆すた」で今期上期10億円と大幅に予算対比で増加。興収25億円くらいを狙っていた「シュレック3」が興収16億円と当初予算よりも下回ったのですが、その分「らき☆すた」が上回ってくれました。これは非常に大きいですね。「ハルヒ」は55万本で、売上22億円。「らき☆すた」が順調に5万本ペースできていて、12巻まであるから「ハルヒ」を抜きそうな勢いです。前期は他に、実写では「時効警察」と「トランスポーター2」、「ソウ3」、それとアニメの「森のリトル・ギャング」などが良かったですね。

―設立から4年、社内の体制は固まりつつあるのですか。

椎名 9月30日現在、出向者も全部入れて55名です。営業本部のビデオ担当30人、劇場担当12人、管理は12人。来年入社の新卒が3人内定しました。アスミックAからの出向者はジョブ・ローテーションの一環で、循環させていきます。当初角川Eを立ち上げた時というのはアスミックAのマンパワーが必要で、現在、数的には当初に比べて少なくなりましたが、こういうビジネスをやるには必要なパワーですね。角川映画からは6人、角川書店は1人、アスミックAは8人で、もうプロパーが40人くらいになっています。アスミックも角川も5~10人くらいでまわしていきます。僕は設立当初から60人規模を考えていました。

―それにしてもJVAの発表を見ると、洋画が下がってTVシリーズ、アニメ、邦画が上ってという形で、セルがひと段落したことにより、レンタルが好調となっていますが、今後のこうした市場に対応すべく、各社〝方向転換〟をはじめていますね。

椎名 定価を適正価格に戻して、出荷本数を減らしていく考え方は一つある。もう一方で、店舗には常に新しい作品が出ているという状況を作ることが必要だし、キャンペーンなどによるお店の活性化も大切なこと。いつも何か映画で騒がしいという状況を作ることでしょう。といっても、だんだん家電量販店がDVDからTVゲームに売り場面積をシフトしています。更に最大のセルの市場であったコンビニだって限界があります。返品の問題が大きいから、家電店系、玩具店系、そしてホームセンターという大量に仕入れていたところがもの凄く数字が落ちて来ているんです。だからDVDの販路自体が狭まっている。薄利多売でやっていたメーカーが低価格戦略から脱皮し販売を推し進めていく過程で、ある水準までは販売数量が落ちていくんですよ。でも、まだ日本の落ち方は他国に比べても少ないと思いますが。

―DVD市場は再び伸びることが出来るのでしょうか。

椎名 落ちが止まり上向くのは来年がポイント。08年の北京オリンピックが終わって、そこから次の駆け込み需要があるかどうかです。今年のセル市場というのは、来年のための今年なんですよ。来年のその時にいかに勝負に出られるか。そのためにいかに自分のところが正常と言うか、身軽な形で戦略を打てるような状態になっているかというのが大事。今年じたばたしては駄目ですよ。今年は体質強化にかける時。それはもちろん財務的なものもあるだろうし、人的な問題もあるだろうし、全てにおいてそう。今年は我慢。そして、いかに今までの贅肉を落として健全な体質にもっていくか。来年のしかるべき時に勝負です。


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