一昨年文化勲章を受章し今年9月13日で満83歳を迎えた山田洋次監督は、現在 “山田喜劇” の集大成となる『家族はつらいよ』(製作・配給:松竹)を撮影中だが、早くも来年5月にクランクインする最新作(未発表)の製作が決定し、映画製作を活発化させている。
山田監督は、小津安二郎監督へのオマージュ作品である『東京家族』('13)が完成した当時、次回作として『小さいおうち』('14)を含む5本が企画されていたが、落語を題材にした人情喜劇や『男はつらいよ』“寅さん” の少年時代を描く “けっこう毛だらけ” の2本の企画は主演に想定していた俳優の死去などから断念、『小さいおうち』を含む3本に絞られ準備が進められていた。
今回の『家族はつらいよ』は、結婚50年を迎えた夫婦に訪れた熟年離婚を背景に笑いあり、涙ありの “山田喜劇” の集大成となる作品。キャストは『東京家族』の平山家一家を演じた主要キャストが再結集。橋爪功(夫)、吉行和子(妻)、西村雅彦(長男)、夏川結衣(その妻)、中嶋朋子(長女)、林家正蔵(その夫)、妻夫木聡(二男)、蒼井優(その恋人)らで、都内近郊でロケし、11月下旬にクランクアップする。
山田監督は、クランクインにあたり「映画(『家族はつらいよ』)を見た観客は “あぁ、ダメなのは自分だけじゃないんだなぁ” と安心して笑ってしまう。映画館で観客と作り手が、笑いを共有していく、そんな喜劇にしたい」と映画化の抱負を話している。完成は2015年で、公開は2016年の予定だ。
松竹は来年が創業120周年を迎えると同時に戦後70周年にあたることから記念映画の製作を検討している。
来年5月にクランクインする山田監督の最新作は、未発表で内容は明らかにされていないが、二つの記念が冠される予定。公開時期も、現在撮影中の『家族はつらいよ』の前となる2015年中が計画されている。
(取締役会長:指田 洋)