太秦配給『あいときぼうのまち』の初日舞台挨拶が21日、テアトル新宿で行われ、菅乃廣監督、脚本の井上淳一、出演の夏樹陽子(=写真)、大谷亮介、千葉美紅、黒田耕平、沖正人、大島葉子、里見瑤子、伊藤大翔、杉山裕右が登壇した。
同作は、東電に翻弄された4世代70年の家族の葛藤を描くもの。主演の夏樹は「3・11以来、私なりに何ができるか考えてきたが、俳優として表に出すことが1番だと思い、お話を頂いた時は台本も見ずに『ぜひやらせてください』と即答した」と出演の経緯を述べた。また、(福島県の)地元の人の心を大事にしながら映画を作ることがポイントだったとし、「現地の方から『この映画を作ってくれてありがとう』という言葉を聞くことができ、本当にやってよかった」と振り返った。
また、菅乃監督は「企業が作った作品ではなくて個人の有志が集まって作ったような作品で、厳しい条件の中での制作だったが、夏樹陽子さんをはじめ素晴らしいキャストの方にも恵まれ、スタッフも一流のベテランの方にやって頂き、自分としては満足できる作品になっている」とコメント。脚本の井上は夏樹同様に「被災された方の目線に立てるだろうか?」という不安があったことを明かしたが、それでも執筆した理由について「東京と被災地は地続きなんだ。土地だけじゃない、時間も地続きなんだ。ぼくたちはこのことを忘れちゃいけないんだ」という思いで書き上げたと語った。
同作は、6月21日よりテアトル新宿ほか全国順次公開。