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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.154】
さあ春興行、「アナ~」の独壇場と実写作品

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.154】
さあ春興行、「アナ~」の独壇場と実写作品

2014年03月26日
 春興行は、「アナと雪の女王」が、何馬身も抜きん出てトップに躍り出ている。先週「LIFE!」を見に行ったシネコンでは、小さな女の子が、ロビーで得意げに「レット・イット・ゴー」を歌っているところに遭遇した。

 これには、心底驚いた。米映画のアニメにしろ、実写作品にしろ、幼女がその主題歌を堂々と歌っている光景なんて、これまでありえただろうか。あったとしても、それは何の作品だったかわからないほど過去の話ではないだろうか。この浸透度は、半端ではない。とともに、ディズニー側が狙ったミュージカル作品としての中身の側面が、見事に伝わっている証でもあったと言える。

 「アナ~」は、3月23日の時点で、全国動員243万1182人・興収30億1136万5300円を記録した(594スクリーン)。3月14日からの公開なので、10日間で30億円を突破したことになり、この10日間での30億円突破は、洋画アニメの歴代最速記録となる。この勢いが続けば、最終で100億円超えも十分に視野に入ると言って差し支えない。

 春興行の他の作品も、見てみよう。まだ、最終成績の見通しを立てるのは早いので、3月7日以降に公開された主な作品のスタート成績だけ、以下羅列する。

▽3月7~9日=「銀の匙 Silver Spoon」:12万6473人・1億5383万2800円(285スクリーン)

▽3月8、9日=「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境~」:53万0554人・6億0035万6700円(361スクリーン)

▽3月14~16日=「ロボコップ」:10万9918人・1億3757万5700円(308スクリーン)

▽3月15、16日=「映画プリキュアオールスターズ~」:17万2278人・1億9264万9600円(210スクリーン)

▽3月14~16日=「アナと雪の女王」:79万2636人・9億8640万5300円(594スクリーン)

▽3月19~23日=「LIFE!」:26万6750人・3億3322万7500円(594スクリーン)

▽3月21~23日=「神様のカルテ2」:17万1813人・2億1483万9950円(325スクリーン)

▽3月21~23日=「ローン・サバイバー」:7万0003人・8580万1300円(212スクリーン)

 これらから見えてくるものと言えば、「アナ~」は別格として、定番アニメもとりあえず除けば、邦画、洋画の実写作品の興行が、ここに挙げてない作品含めて、かなり厳しい現状だということになる。とくに、東宝配給の2作品は、これからシビアな分析が必要となろう。

 「銀の匙~」なら、中身の浸透度がどの程度のものであったのか。「神様のカルテ2」なら、続編の存在から考えてみることも必要な気がする。ヒットに向けての万全な体制がとられている東宝にして、この春興行の実写作品からは、考えることが多いのではないか。子どもたち、学生たちの休み期間に入った今後の展開含め、春興行全般については、もう少し様子を見て判断することにしたい。

(大高宏雄)

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