東京テアトル他『キッズ・リターン~』“だから縁を感じます”と平岡
2013年10月15日
東京テアトル+オフィス北野配給『キッズ・リターン 再会の時』の初日舞台挨拶が12日(土)、東京のテアトル新宿で行われ、キャストの平岡祐太、三浦貴大、倉科カナ、中尾明慶、清水浩監督が登壇すると、大きな拍手が起こり、会場の温度は一気に上昇。手を振る観客に対して、登壇者たちは笑顔で手を振り返した。
先日、本作がバンクーバー映画祭で上映され現地に赴いていた清水監督は「大きな反響をいただいて、ありがたいですね。切なかったという感想もあったりして。そうしたら現地で、中尾さんに第一子が生まれたって聞いて」と話を振ると、照れながら深くお辞儀をする中尾に対して、会場からは大きな拍手が起こった。
ボクサー・シンジとしての迫真の演技が大きな話題となっている平岡は「役者を始めた頃、マネージャーに『キッズ・リターン』のVHSを渡されて、シンジ役の安藤政信さんみたいな役者になりなさいって言われたんですよね。だから縁を感じますね」とし、実際にシンジ役の話が来た時の感想を「これは大変なことになったなって(笑)。10代の頃見た好きな映画でもあったので、シンジ役をやらせていただけて大変光栄ですが、プレッシャーもありました」と明かした。
これまでのイメージを覆すヤクザ役の役作りについて三浦は「いろいろ考えたんですよね。ヤクザの話し方とか、動き方とか。でも結局わからなくて…(笑)。だから悩むのをやめて、マサルの心情を大事にして演じようと決めたんです。そうしたら、マサルから自然とヤクザという部分が出るかなって」と説明し、同じヤクザ役の先輩として父・三浦友和からのアドバイスがあったかについては「聞こうと思ったんですけど、やめました。マネできないと思って。同じ役者でも、メジャーリーガーと草野球みたいなものなので(笑)」と謙遜してみせた。
中尾は、オーディションで今回のユウジ役をつかみとったという事だが、「元々『キッズ・リターン』という作品を知っていたのもあったし、当時、2月くらいに映画化の話、しかもオーディションがあると聞いたんです。どういう形でもいいから好きな映画に出たいと思って、監督に会いました。掴み取った役だから、思い入れもあります。でも仕事柄、『今、自分はこれでいいのかな、間違ってないかな』って思うことがあるんですけど、そんな気持ちを吹き飛ばしてくれる現場でした」と思いを語った。
男の友情がテーマの本作だが、シンジの恋人マナミを演じた倉科は、「自分の好きな彼に友達がいないのは嫌ですが、男性の友情って女性が近づけない領域かなって思います。微笑ましくもありますが、放っておかれると寂しいですよね」と女性ならではの視点で感想を述べた。
清水監督の演出にキャストみんなが「間の演技が難しかった」と口を揃えていたことについて、「映画をご覧になったお客さんに伝わっていると嬉しいのですが…セリフで表現するのではなく、人物の内面を“間”で表現してほしくて、キャストの方々にはお願いしました。僕はほとんどテストをしないし、撮影期間もとても短かったですが、皆さんとても瞬発力があって対応してくれていました」と清水監督。
平岡は、「普段やっていることと違うんですよね。セリフで埋めるじゃなくて、“間”でいろいろ語るというか。でもどうしても“間”に耐えられなくなったらしゃべる!みたいな(笑)。それからボクシングシーンもテイク1で撮影が終わったりして。とてもこだわりを感じました」とした。
最後に清水監督は、「2時間足らずの映画ですが、キャストやスタッフの思いが詰まった映画です。是非、多くの方にご覧になっていただけたらなと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました」とアピールして締め括った。