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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.129】
“貯金”切り崩し、正念場の映画興行

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.129】
“貯金”切り崩し、正念場の映画興行

2013年06月20日
 第22回日本映画プロフェッショナル大賞の授賞式が15日にあったこともあり、このコラムは1週空いてしまった。そのことをお詫びしつつ、日プロ大賞に関しては、井浦新さん(主演男優賞)の感動的な発言、前田敦子さん(主演女優賞)の映画にかける意欲など、授賞式の報告は文化通信ドットコムで行いますので、ぜひ読んでみてください。

 さあ、映画界、映画興行のわが仕事場に戻る。まず、今年の1月から5月までの配給会社13社の累計興収がまとまったので、早速それからお伝えする。5月累計が131億3558万6080円で、これは前年対比81・2%。1~5月累計は713億9824万1706円で、こちらは前年対比102・8%だった。

 4月、5月と、今年前半に蓄えてきた“貯金”が、明らかに減ってきたのがわかる。1~3月累計時点では、昨年対比115・6%だったのである。単純に言って、前半成績を押し上げた「レ・ミゼラブル」「テッド」(2本で100億円超え)クラスの作品が、この4月、5月と、全く登場しなくなったことが大きい。

 さらに昨年との比較を、会社ごとにしてみれば、トップの東宝(198億8503万円)が61・6%と大幅に落としたのに対し、2位の東映(109億4655万円)が170・9%だった。昨年も、この2社が1,2位を占めたのだが、昨年3位で今回7位のワーナー(42億2780万円)が71・5%、昨年4位で今回8位のパラマウント(20億6841万円)が41・6%と、いずれも昨年との比較で数字を下げたのである。

 ちなみに、先の2作品の貯金が大きい東宝東和(93億7789万円)は、昨年の9位から一躍今年3位に躍進。昨年対比387・9%と確かな手応えであった。だから、この5カ月を見る限りにおいては、東宝、ワーナー、パラマウントの大きな前年比割れが、貯金の減少を大きく促したと言える。

 もはや、映画界は夏興行に標準を合わせている。この6月もすでに下旬に入ったのに、現段階ではヒットの大きな目算が立っていないからだ。これからが、本当の正念場である。

 東宝配給作品の動向に注目したい。現時点で、興収20億円を超えた作品が4本。昨年は同時期では、倍となる8本があった。この差を、これからどうつめていくか。夏興行含め、正念場の意味は東宝にとってこそ、一段と強くなると思われる。

(大高宏雄)

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