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【大高宏雄の興行戦線異状なし <特別編> Vol.126】
アジア3カ国で、邦画興行が新展開見

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【大高宏雄の興行戦線異状なし <特別編> Vol.126】
アジア3カ国で、邦画興行が新展開見せる

2013年05月15日
 「東亜電影速報!」というアジアの映画興行ランキングを掲載しているホームページを見ていて、これは面白くなってきたなと、ちょっとワクワクしてしまった。香港、台湾、韓国の3カ国の映画興行で、邦画の健闘が目立っているのだ。非常に、いいことである。各国の10位までのなかに、かなりの数の邦画が入っている。「東亜電影速報!」管理者の許可を得たので、まずはざっと、そのランキングを見てみよう。

 香港(4月29~5月5日)では、4位「プラチナデータ」、8位「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」、10位「東京家族」。台湾(5月3~5日)では、3位「HK 変態仮面」、5位「プラチナデータ」、9位「だいじょうぶ3組」。韓国(5月3~5日)では、3位「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」、6位「あらしのよるに」といった具合である。

 これらアジア地域では、邦画の公開は結構行われているのだが、ここまで3カ国で万遍なく、邦画がランキングされた例は、これまであまりなかったと聞く。従来は、ジャニーズ系俳優の作品、アニメなどが中心ではあったが、今回は「HK 変態仮面」のように、新しいジャンルの作品も入っている。「あらしのよるに」のように、少し前のアニメも登場している。

 偶然、作品が揃ったということが大きいのだろうが、海外進出の分野で、これまでまるで精彩がなかった邦画が、ここに来て少し変化の兆しを見せ始めている気もする。「HK 変態仮面」など、現地でしっかりとした宣伝活動をしたというから、アジアで人気となる邦画は、ジャニーズ、アニメだけではなくなっていることが、とても重要である。

 トータルの興行成績では、日本と比べたら、それほど大きくはないだろう。ただ、日本では限定公開である「HK 変態仮面」などは、アジア地域の収益はかなり重要性をもつ。だから今後、アジアをはじめとする海外公開を、戦略的に視野に入れる単館系邦画が、続々と出てきていい。

 残念ながらその時期、中国(4月29~5月5日)では1本も邦画が入っていなかったが、映画通にはピンとくるタイトルの作品が、7位にあった。それは「人間蒸発」と言い、今村昌平監督の代表作でもあるタイトルであった。

 先の「東亜電影速報!」によれば、これは日本の映画学校で勉強したというサム・レオン(梁徳森)が監督したサスペンスだそうだ。日本からは、圀村隼が参加しているというから、まんざら日本と無関係ということでもないらしい。逆に、日本公開が期待される作品とも言っていい。

(大高宏雄)

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