「シュガー・ラッシュ」が、ヒットスタートを切った。ディズニーが、一矢報いたと言えよう。3月23、24日の2日間で、全国動員26万7276人・興収3億3970万7750円だった(421スクリーン)。最終で20億円を超えるめどが立ち、その上の成績への期待も高くなった。
ディズニーが一矢報いたという意味は、先に公開された「オズ はじまりの戦い」が、少し物足りないスタートであり、ディズニーブランドの浸透、信頼感に幾分かの陰りが出た感じがしたからである。「シュガー~」は、まことにディズニーらしい作品の仕上がり具合が、宣伝面での広範囲な浸透にも寄与し、それがブランド性を高めたと言える。結果、広い観客層にアピールできた。
その客層だが、小学生の子どもと親、10代から20代のカップルと、非常に幅広い展開になっている。とくに前者のファミリー層の人気が高い。同じ客層で絶好調スタートを切った「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」の興行にも、少なからず影響を与えたようだ。
ゲームから飛び出した落ちこぼれキャラクターが、他のゲーム内で活躍するという絶妙なアイデアが、非常に生きた作品である。その “新天地” は、シュガー(甘味料)でできた “エリア”。甘いものに目がない子供たちからすれば、この設定だけで、大喜びだろう。まさに、アイデアの勝利の作品だと言える。
ディズニーブランドとは、テーマパークを含めた独自のファンタジー世界の構築が、人々の心に深く溶け込んでいることから生まれる。「シュガー~」は、その意味からしても申し分ない中身だった。
ただ大人の目からすると、落ちこぼれキャラを描く前半部分の面白さが、次第に失速していくのが、何とも残念であった。こうした点が、春休みを過ぎてから、どのような展開になっていくか。このあたりにも、興味はそそがれる。
同日公開の「相棒シリーズ X DAY」は、健闘であった。3月23、24日の2日間で、16万9600人・2億1123万4500円(198スクリーン)。「相棒」のスピンオフ作品であるが、タイトルに「相棒」と入っている強み、作品の評判の高さなどが、興行を押し上げたようだ。もちろん、テレビ媒体における情報発信の多さは、大いに興行に貢献した。比較的、若い観客が増えているのも、興味深い現象だと言える。
(大高宏雄)