視聴率は日テレとテレ朝のトップ争いで熾烈な展開を見せている。11月4日(日)現在、2012年暦年(1月~12月)では、ゴールデン帯と全日帯は日テレがトップで、2位テレ朝に差をつけるが、プライム帯ではテレ朝がトップ、2位日テレに0.1%の差で頭ひとつ飛び出している。
残り2カ月弱、昨年の覇者である日テレがゴールデン帯、全日帯のトップを死守し、プライム帯で巻き返しを図るか、それとも勢いづくテレ朝の初の暦年プライム帯トップ達成となるか。2010年まで首位に君臨していたフジテレビがテレ朝と僅差にある全日帯において2位浮上の意地を見せるか――そんな展開となっている。
一方、年度(今年4月~来年3月)平均でみると、ゴールデン帯は日テレとテレ朝が同率トップという状況。プライム帯はテレ朝、全日帯は日テレがトップに立っている。こちらはあと5ヶ月弱あり、予断は出来ない。
2012年(1月~12月)平均視聴率(11月4日現在)
▼ゴールデン帯 1位 日テレ 12.4%、2位 テレ朝 12.1%、3位 フジ 11.6%
▼プライム帯 1位 テレ朝 12.3%、2位 日テレ 12.2%、3位 フジ 11.7%
▼全日帯 1位 日テレ 8.0%、2位 テレ朝 7.6%、3位 フジ 7.5%
2012年度(今年4月~来年3月)平均視聴率(11月4日現在)
▼ゴールデン帯 1位 日テレ 12.0%、1位 テレ朝 12.0%、3位 NHK 11.4%
▼プライム帯 1位 テレ朝 12.3%、2位 日テレ 11.8%、3位 フジ 11.2%
▼全日帯 1位 日テレ 7.7%、2位 テレ朝 7.5%、3位 フジ 7.2%
それにしても、この上位2局。夜帯のバラエティ系が好調なのは周知のごとくだが、昨年より新スタートとなった平日ベルト番組が着実に上昇している。日テレ「ZIP!」「ヒルナンデス」、テレ朝「モーニングバード」のことである。当初は苦戦の様相も、現在ではその日によっては民放同時間帯でトップを獲るように育ち、安定感が出てきた。この我慢と育成が上位局の力を見る。
とりわけテレ朝の勢いは目をみはる。前年(通年の平均数字との)比較で、日テレは暦年の全日で伸びているが、テレ朝は暦年、年度とも3部門(G帯・P帯・全日)上昇している。フジやTBS、NHKはダウン。ちなみに、テレ東がテレ朝同様に3部門とも上昇し大健闘している。
テレ朝では2013年度中にプライムトップを目標としているが、1年前倒しで今期中に達成する可能性が出てきた。早河洋社長は、先頃の第2四半期決算IR説明会で、そんな可能性を示唆した前倒し宣言もしている。かつ、早河社長いわく “若者向け編成中心の日テレ、フジに対し、テレ朝は独自の総合編成” に自信を見せる。広告営業面では購買に結びつく若者向けがベターだが、テレ朝はとりわけ高齢層も重視する。高齢層といっても昔の属性と違って若くなっているだろう。確たるデータを確認していないが、エルダー、シニアマーケットが着実に育ってきていると推測される。実際、テレ朝の業績は順調に推移。総合的なターゲット展開が相乗効果となって表れているようだ。
いずれにしても、暦年の視聴率争いは年末までもつれそう。テレ朝が一矢報いれば、放送界歴史的快挙となる。なれば業界の構図が完全に変わることが決定付けられる。残り2ヵ月となった。
(戎 正治)