日本のTV番組が海外で相次ぎ受賞‐海外展開の弾みとなるか
2012年07月06日
日本のテレビ番組が海外で相次ぎ受賞している。海外で高い評価を受けることは、日本のコンテンツの海外展開が注力されている中で、波及効果が期待される。高評価の番組は必ずしも大衆が求めるものと異にするものが少なくなく、商ビジネスに直結するとは限らないが、それを機にして商談に発展するケースは十分ある。確かな品質の日本のコンテンツをアピールする好材料にある。ここ最近の主な受賞作品を紹介しよう。
▼米国の「第46回アメリカ国際フィルム&ビデオ祭」において、
BSフジで昨年大晦日に放送した
「復興SP ガレキの開拓者たち」(フジテレビ制作)がドキュメンタリー部門の最優秀賞を受賞、エンターテインメント部門で
関西テレビ制作のドラマ
「レッスンズ」(11年11月に関西ローカルで放送)がエンターテイメント部門で最優秀賞を受賞した。この最優秀賞の受賞は日本の民放で初めての快挙だ。BSフジ「ガレキの開拓者たち」は、東日本大震災からの復興に励む被災者らの姿を追った作品。「レッスンズ」(主演鈴木杏)は母親の愛情を知らずに育った女子大生と15歳の少女を描いた作品。
また、
中部日本放送(CBC)の開局60周年記念スペシャルドラマ
「初秋」(原作井上靖/脚本・監督原田眞人/主演役所広司)が「アメリカ国際フィルム・ビデオ祭」テレビドラマ部門の第1位に贈られる “ゴールドカメラ賞” を受賞した。ちなみに「初秋」は、ヒューゴ・テレビ賞、モンテカルロ・テレビジョンフェスティバルに続いて、国際賞3賞目という快挙を達成している。「初秋」は原作井上靖。子どもの結婚を機に、親の子離れという局面に立たされた男の戸惑いを描きながら、家族や愛の本質に迫った内容で、主演役所広司、監督原田眞人の作品。
▼
日本テレビの大ヒットドラマ
「家政婦のミタ」が、中国最大級のテレビ番組・国際見本市「上海テレビ祭」において、世界中のテレビ番組の中から優秀作品を選ぶ「マグノリア賞」の連続テレビドラマ部門・海外連続テレビドラマ賞の銀賞(準グランプリ)を受賞した。受賞理由は、演技力、演出、日本国内での視聴率が総合的に判断された結果で、6月15日に授賞式が行われた。ちなみに、この「マグノリア賞」は、中国で最も権威のあるテレビ賞と云われている。昨年は、同じく日本テレビの「Mother」がアジアテレビ連続ドラマ交流賞を受賞している。
▼アメリカ放送界のピューリッツァー賞とも言われる、番組表彰「ピーボディ賞」で4月4日、
フジテレビの番組
「わ・す・れ・な・い 東日本大震災155日の記録」と、
NHKの番組
「巨大津波 命をどう守るのか」シリーズ第1作(英題・サバイビング・ザ・ツナミ)の2本が受賞した。5月21日に米・NYで授賞式が開催された。
▼
東日本放送(KHB)が制作したテレメンタリー
「津波を撮ったカメラマン」が4月18日、国際コンテスト「ニューヨーク・フェスティバル」で、「国連賞」の銅メダルを受賞した。この「国連賞」(金・銀・銅)は、世界的な社会問題や国連が認めた優れた番組に贈られる賞。「津波を撮ったカメラマン」は、ベスト・ニュース・ドキュメンタリー/スペシャル部門のファイナリスト(奨励賞)に選ばれ、さらに国連賞の銅メダルを獲得した。同賞の受賞式(ラスベガス・ヒルトンホテル)には、KHB気仙沼支局の千葉顕一カメラマンが出席した。
▼ちなみに、
テレビ神奈川(tvk)で毎週水曜日22時放送中の
「Billboard TOP40」が、“同一ビデオジョッキーによる最も長寿な音楽番組”として、6月ギネス世界記録に認定された。ギネス認定証に記載された番組の記録は28年8ヶ月と9日。同番組のビデオジョッキーを務めているのは中村真理。83年10月4日の放送開始時には中村は大学生だったが、その後28年8ヵ月以上にわたり継続して担当している。同番組は、今年の10月には放送開始30年目に突入する予定で、来年1月23日の放送で放送1500回に到達する予定となっており、今回のギネス記録認定は、同番組にとって、また中村真理にとって、大きなお祝いとなった。
▼また、
TBSで86年1月から92年3月まで放送されたバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』内の人気コーナー「面白ビデオコーナー」を元に、アメリカで制作された
“America's Funniest Home Videos(AFV)”が、今秋から放送23年目に突入することが決まった。「AFV」は、アメリカの4大地上波ネットワークABC(現Disney/ABC)で89年から放送を開始。06年秋には放送17年目を迎え、60年超の歴史を誇るABCのエンターテインメント(バラエティ)番組史上、最も長寿の番組となった。
(戎 正治)