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エンタメ路線で“芸大イメージ”壊す 東京芸大「らもトリップ」

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エンタメ路線で“芸大イメージ”壊す 東京芸大「らもトリップ」

2012年02月24日

 東京芸術大学が配給する映画「らもトリップ」が、2月25日(土)よりテアトル新宿ほかで全国順次公開になる。同大学として、2005年に大学院映像研究科映画専攻を設立以来、6作目の商業作品。これまでのアートフィルム的作風ではなく、徹底的にエンターテインメント路線が貫かれているのが特徴だ。

 映画は、作家として傑作を多数発表する一方でタレント、アーティストなど自在に活躍し、2004年に52歳で死去した中島らもさんにスポットを当てたもの。型破りな行動で知られた中島さんのスタイルを踏襲し、製作にあたっても従来の“芸大イメージ”を破壊することが求められた。

 全4部のオムニバス構成。中島さんが遺した短編小説3編を、学生監督と学生スタッフ、プロの俳優陣で映像化。さらに、「SF SAMURAI FICTION」「TAJOMARU」などの中野裕之監督が参加しドキュメンタリーパートを手がけた。

 カリキュラムの一環として、学生たちで企画から配給・宣伝まで、商業映画のすべての過程を担うプロジェクト。過去に「新訳:今昔物語」(06年)、「夕映え少女」(07年)、「ラッシュライフ」(09年)、「人の砂漠」(10年)、「紙風船」(11年)と続いてきた流れを汲みつつも、伝統を良い意味で払しょくし、観客を奇想天外な“らもワールド”にいざなえるか。興行で成果が問われる。



佐藤宙信プロデューサー(東京芸大大学院映像研究科映画専攻2年)のコメント
 今回のこの映画のテーマは「チャレンジ」でした。今までの映画業界の定石を取り払って作ってみる。プロの監督と学生監督の共演や、ドキュメンタリーとフィクションのミックスなどはそのアイデアの元に構成されました。また、中島らもさんがどれだけ表現のタブーを打ち破ってきたか、私達は彼の背中を追いかけ、彼の力を借りて表現活動をしました。
 しかし、この映画のいい所はそんな概念的なことをも打ち破る愛で満たされている所にあると思っています。中島らもさんを慕う人々が彼を回顧しながら、この作品をより良いものにする為に協力してくれました。私はただ、その思いを無駄にしない為に動いているだけなのです。その気持ちを是非映画館で受け取っていただければ幸いです
 

東京芸術大学配給「らもトリップ」
(製作:『らもトリップ』製作委員会=東京芸術大学+衛星劇場+アミューズ)
>>公式サイト

『クロウリング・キング・スネイク』
成人すると蛇女になってしまう血筋に生まれた女子高生の青春ドラマ
監督:三間旭浩 脚本:岡田寛司
出演:小島藤子、野村周平、宮下ともみ、清水くるみ、神崎れな、中村綾、松尾貴史

『微笑と唇のように結ばれて』
男性画商と吸血鬼の美女が織りなす恋愛劇
監督:今橋貴 脚本:糖塚まりや
出演:嶋田久作、永池南津子、忍成修吾、矢崎まなぶ

『仔羊ドリー』
クローン人間の作成が認可された近未来が舞台のSFコメディ
監督:松尾健太 脚本:山口文子
出演:勝村政信、諏訪太朗、木村文乃、小松彩夏、六車奈々、荒金蔵人、菅原大吉

『らも語り』
中島らもを語り尽くすドキュメンタリー
監督:中野裕之
出演:石田長生、宇梶剛士、大槻ケンヂ、竹中直人、チチ松村、中島さなえ、中島美代子、原田伸郎、古田新太、宮前賢一、山内圭哉

(スタッフ)エグゼクティブプロデューサー:堀越謙三 プロデューサー:佐藤宙信、諸田創、山田圭佑、大尭健 共同プロデューサー:五十嵐知行、遠藤日登思、久保美夏 撮影・照明:国枝淳志、金相守、下川龍一、上田謙太郎 録音:重森康平、伊藤大地、中村潤一 美術:白諦、森祥紀、本間美由紀、徐賢先、李芳、伊藤知沙 編集:塩谷友幸、西田岳史、西村ちひろ

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。

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