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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.67】
「ドラゴン~」、若者への浸透はどうか

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.67】
「ドラゴン~」、若者への浸透はどうか

2012年02月14日
 新作映画の興行状況を、まずお伝えしよう。いずれも、2月11、12日の2日間成績である。

「ドラゴン・タトゥーの女」=動員17万8362人・興収2億3089万2600円(431スクリーン)

「はやぶさ 遥かなる帰還」=10万8945人・1億2821万9700円
(311スクリーン)

「逆転裁判」=8万5382人・1億1795万6400円(275スクリーン)

 「ドラゴン~」は、同じ監督の前作である「ソーシャル・ネットワーク」(最終興収14億2千万円)の143%だった(土日、興収比)。洋画の久しぶりの健闘で非常にうれしいのだが、観客層を見ると、少し物足りない感じもあった。全体に40代以降の観客層が目立ち、20代、30代の若い層の集客が、今一つだったからだ。

 デヴィッド・フィンチャ―監督の新作にして、映画のスタイリッシュな映像的な側面と、異色な雰囲気をもった犯罪劇といった宣伝的な浸透力が、どうしても年齢が高い観客に偏る傾向があった。一般的な若い層は、こうした浸透の形をとった作品のありようをどのように把握し、関心を抱くのか。そこが、スタート時点の客層を見た限りでは、今一つわからなかったのである。

 ただ、夜の回になると、若い層も混じってきているようだから、今後の展開には注目したい。「ブラック・スワン」(最終23億9千万円)のように、若い層に口コミで広がっていくようだと、20億円を超えていくことも考えられ、本作は、それを可能にするような中身を十分に備えていると私は思う。

 「はやぶさ~」は、正月作品の「聯合艦隊司令長官 山本五十六」(最終15億円前後)よりは、低いスタートだった。「山本五十六」は12月末の3連休に公開されているから、単純な比較はできないが、微妙なスタートであったとは言えるだろう。ただ、昨年公開された別の「はやぶさ」は、最終で5億円に届かなかったから、宣伝面における渡辺謙の献身的な行動力は、興行の大きな下支えをしていることは間違いない。

 「逆転裁判」は、これでも予想よりはいいという声が高い。ゲームを題材にした作品への期待感の薄さがわかるが、そこ(ゲーム)を起点にするのはいいとして、映画としての娯楽的な側面を、どのように浸透させていくのかにも、今後は留意していく必要がある気がした。

(大高宏雄)

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