やはりと言おうか。シリーズ3作目にあたる「ALWAYS 三丁目の夕日 '64」が、大ヒットである。1作目は2005年に公開され、興収が32億3千万円。2作目は2007年に公開され、45億6千万円。2作目から4年ぶりの公開であることが、少しネックになるのではとの指摘も一部にはあったが、蓋を開ければ、まずは申し分のないスタートを見せたと言える。
具体的な成績を記せば、1月21、22日の2日間で、全国動員42万1274人・興収5億5566万3750円を記録。これは、2作目の100.9%の興収であった。テレビ局の大量宣伝、スケールの大きなタイアップなど、大ヒットシリーズにふさわしい露出度と、これまでの認知度、信用度の高さが加味された結果の2日間成績であったと言っていい。
なかで私が注目したのは、3D映画という触れ込みのなか、3D版に対して、どの程度の集客が見られたのかということだった。東宝のデータによると、3D版と2D版の比率では、前者が動員37%、興収43%。後者が動員63%、興収57%ということだった。さあ、これをどう見るか。
公開中の邦画で言えば、「映画 怪物くん」は3D版が73%、2D版が27%(ともに動員)。「friends もののけ島のナキ」は3D版が50.5%、2D版が49.5%(同)という展開になっている。その2作品と比べると、「ALWAYS~」は、はっきりと3D版の比率が低い結果が出ている。
これは、当然といえば、当然かもしれない。「怪物くん」「もののけ島」とも、客層はアトラクション的な描写を好む傾向がある子どもたち。だが、「ALWAYS~」は年配者を多く含む広範囲の客層で、年配者を中心にした大人たちは、2D版でも全く構わない人たちが多かったということだろう。
ただ、単純に観客が選択したとも言えない面もある。今回東宝は、両バージョンの上映回数や上映日時に関しては、各劇場に任せた。あるシネコンに聞けば、1日8回上映のうち、5回は2D上映だという。物理的に、2D版のほうが見る機会が多かったということもあったかもしれない。
「大人は、3Dは見ないよ」と言うのは、そのシネコンの担当者だ。米映画が3Dで来るのなら、画期的な意味をもつ3Dを除いて、邦画のとくに実写は2Dのみでいいのではないか。今回のデータが、そのことを物語っている。
(大高宏雄)