【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.39】
夏興行前半戦、緊急事態の度合いが高まる
2011年07月26日
今年の夏興行前半戦たけなわであるが、ちょっと厳しいデータが出ている。今の段階で、昨年の同時期と比べてみると、それは一目瞭然と言える。
まず今年。7月24日現在で、6作品の累計興収が81億2万円。昨年は、7月25日段階で4作品の累計興収が94億8万円だった。ちなみに、昨年は「ポケモン」が7月10日スタートだったのに対し、今年は7月16日スタートだったので、昨年のほうにほぼ1週間分の興収が加わっている以外は、だいたい同じ条件での比較になっている。
比較対象で一番わかりやすいのが、スタジオジブリの作品だろう。昨年の「借りぐらしのアリエッティ」(10年7月17日公開)は、7月25日段階で26億1770万円だった。今年の「コクリコ坂から」(7月16日公開)は、7月24日現在で11億5226万円となり、これは前者の44%だった。
これまでの実績面から比較しづらいが、フジテレビ作品でいえば、昨年は「踊る大捜査線 THE MOVIE3」(7月3日公開)が、7月25日段階で45億9962万円。今年の「アンダルシア 女神の報復」(6月25日公開)が、7月24日現在で15億3158万円となり、これは前者の33%だった。フジテレビは、「ロック わんこの島」(7月23日公開)も、7月24日現在で7826万円となり1億円に届いていない。
もちろん、今年はその落ち込み分を、7月24日現在で39億2927万円を記録した「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」が補っているのだが、それだけでは足りない。ちなみに同じワーナー映画は、昨年の「インセプション」(7月23日公開)が、7月25日段階で4億8857万円を記録したのに対し、今年の「忍たま乱太郎」(7月23日公開)が、7月24日現在で8573万円の成績であった。
これが、今年の夏興行前半戦の現状である。これが、どう反転していくか。あるいは、しないか。今週末から公開される洋画の大作、話題作が鍵を握ることになるのだが、今のところ、先に東宝の5作品で指摘したことそのままに、緊急事態の度合いがかなり高まっていると言わざるをえない。
(大高宏雄)