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国際Dシネマ映画祭、最優秀は「二番目の妻」

【FREE】国際Dシネマ映画祭、最優秀は「二番目の妻」

2012年07月24日
「二番目の妻」で長編グランプリを獲得したウムト・ダー監督 「二番目の妻」で長編グランプリを獲得したウムト・ダー監督

 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012のクロージングセレモニーが22日、川口市のSKIPシティ映像ホールで行われ、コンペティション部門の授賞式が行われた。長編(国際コンペ)はオーストリア作品の『二番目の妻』(ウムト・ダー監督)、短編(国内コンペ)は『ユメのおと』(角川裕明監督)がそれぞれグランプリを受賞した。

 長編グランプリの『二番目の妻』は、トルコ人の風習に疑問を投げかけ、問題を提示する人間ドラマ。河井真也審査委員長は「オーストリアに住むトルコのクルド系移民の方の生活、思い、感情を学ぶことができる」と論評し、「観た後、すぐにこの作品が1番いいと審査員の間で話していた」と文句なしの受賞だったことを明かした。また、長編部門では家族をテーマにした日本作品『チチを撮りに』(中野量太監督)が台風の目になった。監督賞に加え、SKIPシティから次回作に向けて施設利用などの支援を受けられるSKIPシティアワードをW受賞。審査員のマーテン・ラバーツ氏から「どのアングルからナイフで切り取っても成熟した、非常に完成度の高い作品」と評価を得た。なお同作は、ノミネートされた作品を劇場公開する「SKIPシティDシネマプロジェクト」の対象作品にも選ばれ、今後全国5館以上の劇場で上映されることも決定した。

 短編グランプリの『ユメのおと』は、夢に彷徨う男女が、再び夢に向き合うまでをミュージカル仕立てで描いた意欲作。桝井省志審査委員長は、「コミュニケーションの手段がメールやネットが中心になった現代で、聴力を失った主人公がどうやってコミュニケーションを回復しようとするかがテーマになっている。大変興味深い作品」とコメントした。一方桝井氏は総評の中で、「短編部門は年々レベルが上がっているが、テーマは類似したものが増えている気がする。短編はもっと自由に作るもので、商業映画を手掛ける我々が介入できない、自由なフィールドで活き活きと作ってほしい」と若手クリエイターたちに課題を投げかけた。

 来年で同映画祭は第10回を迎える。岡村幸四郎実行委員会副会長(川口市長)は、「上田(清司)知事には、映画祭開催当初から『10年10回はやってほしい』とお願いしている。そうすればもうやめられなくなる。来年はまさに10回。これからも日本を代表する映画祭にできるよう頑張っていく」と締めくくった。

◆受賞結果

長編部門:最優秀作品賞=『二番目の妻』(オーストリア/ウムト・ダー監督)、監督賞=中野量太『チチを撮りに』(日本)、脚本賞=『旅の始まり』(オランダ/マルヒン・ロハール監督)、審査員特別賞=『ノノ』(フィリピン/ロメル・トレンティーノ監督)、SKIPシティアワード=『チチを撮りに』

短編部門:最優秀作品賞=『ユメのおと』(日本/角川裕明監督)、奨励賞=『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』(日本/和島香太郎監督)、『トゥルボウ』(日本/多田昌平監督)

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。