松竹配給「アントキノイノチ」(製作:「アントキノイノチ」製作委員会/制作プロダクション:ツインズジャパン)の完成報告会見が10日午後、ホテルニューオータニで行われ、瀬々敬久監督、出演の岡田将生、榮倉奈々、原田泰造、松坂桃李が登壇した。
同作品は、さだまさしの同名原作(幻冬舎刊)の映画化。過去のある事件から心を閉ざした男女が、「遺品整理業」という仕事を通して出会い、失われた命や遺されたモノに触れることで、生きる勇気を取り戻していく感動作。第35回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門への正式出品が決まっている。
出演は他に、鶴見辰吾、檀れい(友情出演)、染谷将太、柄本明、堀部圭亮、吹越満、津田寛治、宮崎美子。企画プロデュースは平野隆(TBS)、下田淳行(ツインズジャパン)、脚本は田中幸子、瀬々敬久、音楽は村松崇継、主題歌はGReeeeN「恋文~ラブレター~」。11月19日全国RS。
▼瀬々敬久監督 企画の段階では無縁社会や孤独死など、つながりが失われたことがマスコミで報じられ、映画では何故そうなってしまったのかを描こうと思っていた。撮影は今年3月1日にイン、そして3月11日に震災が起きた。スタッフにもキャストにも、こんな時に映画を作っていていいのかという揺らぎがあったが、やがて、日本人は心の中で絆を求めていたんだ、人の思いは変わらないんだということがハッキリと分かってきた。主役の2人は心に傷があり、それは生き残ってしまったことに起因する。最初から脚本には“生き残ったこと”について書かれていたが、震災後その部分への思いが強まり、傷を負った2人の気持ちを、どうやって次のステージに持っていけるのかを描いていった。
▼岡田将生 演じた杏平は、高校時代に受けたドス黒い何かを持って生きていて、ゆき(榮倉)と出会い、ちょっとずつ心を開いていく。途中で回想シーンが入り、現在と過去を行き来するので、表現できるだろうか、大変かなと思ったが、監督が上手くコントロールしてくれた。
▼榮倉奈々 ゆきのバックボーンは、想像しても想像しきれない。撮影の3、4ヶ月前に原作を読んで、毎日“ゆきだったら、どうするか”と考えて過ごした。そういう日々は苦しかったが、それがあって今の映画がある。この気持ちを、ちゃんと伝えられればと思う。