映画界が団結して支援の手を差し伸べられないか
内容面の拡大解釈による公開延期は慎んでほしい
今回の未曾有の大震災にあたり、映画界はいったい何ができるだろうか。もちろんすでに、各社ごとに独自の支援の動きがあり、各劇場で義援金箱の設置も実施されている。ただ私は、そうしたこととは別に、全映画界が団結して被災地などに支援の手を差し伸べてほしいと思う。一例としては、被災地において、映画上映の場を提供することなども、考えたらどうだろうか。私は、そう思う。
今、映画について記すのはとても困難である。ただ、そうも言っていられない。先週の本紙の記事と重複するかもしれないが、各劇場や上映の状況について触れる。東北・関東エリアでは、内部が損傷する劇場が相次いだ。また、その後の計画停電(予定も含め)により、上映の見合せが行われた劇場も多く出た。3月12日から公開されたディズニー「塔の上のラプンツェル」の場合を見てみると、先週段階で東北・関東エリアの107劇場、175スクリーンで上映ができない状況だった。同作品の場合は全国500スクリーンを超す公開館数だったので、ほぼ三分の二の劇場のみで上映が行われているということだ。新作の公開延期については、いろいろ意見があろう。内容面への配慮とともに、プリント配送が間に合わず、延期になった作品もあった。ただいたずらに、内容面を拡大解釈して自粛の方向にもっていくのはどうだろうか。今後の作品も含め、熟慮に熟慮を重ねてほしい。なかで一つ、太秦が配給することになっていた台湾映画「父の初七日」の公開延期は、大いに気になった。大きくない配給会社でこうしたことが起こると、会社の経営面にまで影響を与えかねないからだ。苦渋の決断だったとはいえ、大手とはかなり様相を異にする公開延期は、大変な問題である。何とか、打開策を見いだしてほしいと思う。
今後の映画界は、全く見通しが立たない。今後公開される作品の宣伝などにも支障が出るだろうし、いつまで続くのかわからない計画停電の影響も大きい。これからはより一層、各々が自分の職務のなかでできることは何かをじっくり考え、行動を起こすことが求められるだろう。その総意が、映画界全体の外に向けたエネルギーになるような方向性を、私は望んでいる。
(大高宏雄)