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キング、ボニージャックス玉田元康90歳のソロデビュー

【FREE】キング、ボニージャックス玉田元康90歳のソロデビュー

2025年03月12日
ボニージャックス玉田元康 ボニージャックス玉田元康

 90歳のソロデビュー――2023年にデビュー65周年を迎えた昭和を代表するコーラスグループ「ボニージャックス」のリーダー兼バス担当“のぼさん”こと玉田元康が、ソロデビュー作品となる6曲入りCDアルバム『男たちの子守り歌~ボニージャックス「のぼさん」90歳のソロデビュー~』(キングレコード)を3月12日に発売した。翌13日の沖縄を皮切りに福岡、そして出身地・熊本の3カ所でコンサートを開催する。

 早稲田大学グリークラブ出身の「早稲田の四人組」としてラジオ番組「青春ジャズ大学」に出演した後、1958年のクリスマスイブに「ボニージャックス」のバス担当として正式にプロデビュー。「第4回日本レコード大賞」で童謡賞(ちいさい秋みつけた)を受賞し、「NHK紅白歌合戦」に3回出場した。NHKを中心にレギュラー番組で活躍し、現在でもNHK「みんなのうた」で最多歌唱を誇る。メンバーの大町正人(2011年死去)、西脇久夫(2021年死去)、鹿嶌武臣(2024年死去)がこの世を去った現在は、大町の後任として2003年に加入した吉田秀行と2人でステージに立ち続けている。

提案を受けソロでも活動していくことを決意

 ソロデビューは、トップテナーの西脇亡き後、「ボニージャックス」のマネージメントを引き受けたNPO法人日本国際童謡館の館長で歌手仲間の大庭照子から、グループとして活動するためにも、1人ひとりがソロで活動できるよう自立して欲しいと提案を受けたことがきっかけだという。玉田はそれを素直に受け入れ、ソロでも活動していくことを決意。今年1月には初のソロコンサートを開催した。

 今作には「ボニージャックス」のオリジナル曲を中心に全6曲が収録されている。表題曲「男たちの子守り歌」や「アンパンマン」の生みの親として知られるやなせたかし作詞「愛その愛」など「(亡くなったメンバーたちと)一緒に歌ってきた歌を、私が残さなきゃいけないという気持ちがあります」と玉田は話す。

ソロの歌い方に苦戦も、目から鱗の経験

 長年グループでバスを担当しメロディーを歌う他のメンバーたちを支え、包み込むような役割を担ってきた玉田にとって、ソロでメロディーラインを歌うことは新たな挑戦となった。「今までやってきたコーラスのバスパートの歌い方が抜けないらしくて、苦労はしましたけど、目から鱗のレコーディングで、色々と経験させていただきました。ソリストの歌い方とコーラスの一員としての歌い方は、やっぱり違うんだというのを本当にしみじみ感じさせられました。バスのソリストとはどうあるべきなのか。今回のレコーディングで教えてもらいました」。

現在も週4日勤務、健康には自信がある

 現在、東京都稲城市内の特別養護老人ホームで週4日、午前8時から正午まで働いている。「健康には自分でもなぜか自信がある。後期高齢者の検診を受けても特に悪いところを指摘されない。薬も飲んでいない。唯一飲んでいるのは便通の薬くらい。みんなに『へぇ~!?』なんて驚かれます。ありがたいことです」。

 もともと奥さんがお世話になっていた施設で、奥さんが亡くなった後、パート従業員募集の求人広告を見て応募した。70歳以下の募集で当時70を超えていたが、体力が認められ雇ってもらうことに。朝食後の食器を片づけるなどの単純作業の他、利用者に歌を教え、一緒に歌っている。「おかげさまで健康だけは恵まれています。週4日歌っていますし、家から施設まで上り坂があって20分くらい歩いています。献身的にお世話をしてくれている若い人たちも仲間と思ってくださるし、そういうことも精神的な健康のためになっているんじゃないかと思っています」。

 CD発売日の翌日からツアーが始まる。3月13日(木)沖縄・那覇パレット市民劇場、同20日(木)福岡・大川市文化センター大ホール、同21日(金)熊本・熊本市国際交流会館の3公演を予定。「楽しみでもありますし緊張はしていますけど、ここまで来ましたので肝を据えて頑張ろうと思っております」。

【アルバム収録曲】

①「男たちの子守り歌」(作詞:名村宏、作曲:西脇久夫)
②「愛その愛」(作詞:やなせたかし、作曲:西脇久夫)
③「And I Love You So」(作詞・作曲:Don Mclean)
④「おやじの舟唄」(作詞:山川啓介、作曲:坂田晃一)
⑤「酒は涙か溜息か」(作詞:髙橋掬太郎、作曲:古賀政男)
⑥「あなたの笑顔」(作詞:星乃ミミナ、作曲:西脇久夫)
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。