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小津監督『長屋紳士録』カンヌでWプレミア上映

【FREE】小津監督『長屋紳士録』カンヌでWプレミア上映

2023年05月20日
上映は大盛況 上映は大盛況

 小津安二郎監督作品『長屋紳士録』の4Kデジタル修復版のワールドプレミア上映が18日にカンヌ国際映画祭クラシック部門で行われた。会場にはヴィム・ヴェンダース監督も訪れ、海外向けポスターにサインした。

 上映前には、松竹の小山芽里氏(メディア事業部 海外版権室長)がスピーチ。「『長屋紳士録』は、小津安二郎が戦争から帰還して最初に製作した映画。捕虜として過ごしたシンガポールから帰国した小津安二郎は、1947年に2週間で脚本を書き上げ、3月に撮影を開始。作品は5月に公開された。後期の小津作品では、戦争は台詞の中で語られるだけで視覚的に表現されることはなかったが、本作では公園に集う孤児たちや焼け野原の東京の風景など、戦争が落とした影が多々見受けられる。しかしながら決して暗く憂鬱なテーマを扱っている訳ではなく、他の作品同様にユーモアに満ち溢れ、『人と人との繋がり』や『家族になるとは』といった根本的なテーマを描いている。戦前作品のキャストやスタイルを維持しながら、戦後の日本の生活を描き新しい時代をスタートさせた小津作品として、生誕120年での上映に相応しい映画だと思っている」と語った。

 上映後、鑑賞した20代ドイツ人男性は「作品を通して随所に散らばるユーモアや、誰にでも共通する普遍的なテーマもとても良かった」、地元の高校生は「小津作品は初めて観た。最初は良くなかった二人の関係性が少しずつ変化していき、最後には愛すら感じられるところがとても良かった」などと好評の声が寄せられた。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。