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東宝『すずめ~』完成で新海誠“一つの到達点”

【FREE】東宝『すずめ~』完成で新海誠“一つの到達点”

2022年10月27日
『すずめの戸締まり』会見に新海誠監督(前列中央)ら登場 『すずめの戸締まり』会見に新海誠監督(前列中央)ら登場

 東宝配給『すずめの戸締まり』の完成報告会見が25日、東京国際フォーラム ホールAで開催され、新海誠監督、声優を務めた原菜乃華、松村北斗、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、音楽を担当した野田洋次郎、陣内一真が登壇した。

 興収250億円を超えた『君の名は。』、141億円を超えた『天気の子』と、メガヒット作を送り出してきた新海監督の新作は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく主人公・すずめの解放と成長を描く冒険譚。3日前に完成したばかりとあって、新海監督は「最近まで作っていて、つながったまま会見に来た感じ」と話し、会見後に控える5千人に向けた一般試写会で「見てもらったら“終わった”という気持ちになるのかな」と、まずは完成させることができて安堵した表情を浮かべた。

 昨年12月の記者会見時に「映画館に足を運ぶ理由になる映画」にしたいと語っていた監督は、完成した今作について「(映像に関しては)今日は荻窪のスタジオにいる何百人ものスタッフを代表して僕はここにいるが、日本のキャラクターアニメーションの、一つの本当に美しい到達点…と自分で言えば偉そうだが、そういう形のアニメーション映画になったと思う。大きな画面で体験するのに相応しい映像ができた。もう1つは、(野田)洋次郎さんとも、劇場でしか聴けないような音をこの映画の中にたくさん入れていきたいと話をしてきた」と、映像・音楽とも映画館での鑑賞を念頭に置いて作り上げてきた経緯を明かした。

 13歳の時に『君の名は。』を鑑賞し、「新海監督の作品をリアルタイムで見られる時代に生まれてきて良かったと友達と話していた」というほど感動した原は、6年後に自身が新海作品に携わることは「夢にも思っていなかった」と述べ、「こんなことあっていいんだというぐらい、私の中で大切な作品」と思い入れの強さを語った。松村は作品について「見ている間に何度も笑って、何度も涙した。笑った理由や種類、涙の理由や種類もそのたびに違い、こんなに感性の幅があるのかと思った。作品を見ているのに、自分を見ているような不思議な作品だった」と、多くの魅力的要素を備えた作品であることを説明した。

 野田は、完成までの追い込みに入った数ヶ月間で、新海監督が「どんどん背中が小さくなっていった」と振り返り、「でも戦っている勇者の背中にも見え、振り絞って作品を作っているんだなと、近くでずっと見ていた。その2年10か月の間(作品に)込めてきた感情が、全てスクリーンに出ている感じがした」と、作品に精魂を注ぎ続ける監督の姿勢を讃えた。

 最後に監督は「自分たちがどういう映画を作ることができたのか、それを教えてもらえるのが今日(の試写会)以降」と期待と不安が入り混じる気持ちを滲ませつつ、「まずはエンターテイメントを楽しんでほしい。もしかしたら、いま日本で一番面白い映画かもしれないので…わからないけど(笑)。楽しんで頂けたらいいなと思う」と締めくくった。

 公開は11月11日。制作はコミックス・ウェーブ・フィルム。制作プロデュースはSTORY inc.。製作委員会はコミックス・ウェーブ・フィルム、東宝、STORY inc.、voque ting、KADOKAWA、ジェイアール東日本企画、ローソングループ、アニプレックス。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。