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円谷英二撮影担当の初期作、イギリスで発見

【FREE】円谷英二撮影担当の初期作、イギリスで発見

2021年07月09日
『かぐや姫』凱旋上映決定(左から)岡島尚志氏、円谷粲氏、塚越隆行氏 『かぐや姫』凱旋上映決定(左から)岡島尚志氏、円谷粲氏、塚越隆行氏

 「ゴジラ」「ウルトラマン」シリーズの生みの親として知られる特撮の神様・円谷英二の生誕120周年記念イベントが、英二の誕生日である7日、東京・国立映画アーカイブで開催。この中で、英二が撮影を担当した、キャリア初期の映画『かぐや姫』(1935年公開、田中喜次監督)の海外向け短縮版フィルムがイギリスで発見され、85年の時を経て日本に戻ってきたことが発表された。

 『かぐや姫』は、「竹取物語」を題材にしたJ.O.スタヂオ製作のトーキー音楽映画。光り輝く竹から姫が現れる多重合成や、背景に映像を投影して手前の人物と合成するスクリーン・プロセス、躍動感あるクレーン撮影、宝探しの船が嵐に襲われるシーンでのミニチュア特撮など、当時の撮影技術の粋を集めて制作された作品となっている。国内では1935年11月11日に京都・京都宝塚劇場、11月21日に東京・日本劇場で上映されたことが確認されているが、今回の発表に至るまでフィルムは長らく失われていたとされ“幻の映画”となっていた。

 しかし2015年5月に、ロンドン在住の映画史研究家・ロジャー・メイシー氏から、英国映画協会(BFI)に「本作の可燃性ポジフィルムが現存している」という情報が寄せられたことから、同10月に国立映画アーカイブの研究員がBFIの保存センターで現物調査を実施。その結果、1936年にイギリスでの上映イベント向けに再編集された短縮版『かぐや姫』のフィルムであることが明らかになった。その後、約6年にわたるBFIとの収集交渉を経て、不燃化したフィルムの里帰りが実現。これを祝し、9月4日(土)と5日(日)に国立映画アーカイブで一般向けの上映会が開催されることも決定した(詳細は追って発表)。

 また、8月17日(火)~11月23日(火・祝)にかけて、同所で英二の展覧会「生誕120年 円谷英二展」(主催:国立映画アーカイブ、須賀川市)が開催されることもアナウンスされた。

 この日は、岡島尚志国立映画アーカイブ館長、岡田秀則同展示・資料室長主任研究員、大傍正規同映画室長主任研究員、塚越隆行円谷プロダクション代表取締役会長CEO、円谷英二氏の三男・円谷粲氏が参加。塚越会長は「今年は円谷英二監督の生誕120周年であり、ウルトラマン55周年にあたる年。英二監督の偉業を知って頂く機会になれば嬉しい」と語った。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。