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『竜と~』完成、細田監督が発想の原点明かす

【FREE】『竜と~』完成、細田監督が発想の原点明かす

2021年07月08日
『竜とそばかすの姫』会見(左から玉城、染谷、佐藤、中村、成田、細田監督) 『竜とそばかすの姫』会見(左から玉城、染谷、佐藤、中村、成田、細田監督)

 東宝配給、スタジオ地図企画・制作『竜とそばかすの姫』(7月16日公開)の完成報告会見が6日、グランドハイアット東京で行われ、細田守監督、声優を務めた中村佳穂、成田凌、染谷将太、玉城ティナ、そしてこの日初めて出演が明かされた佐藤健が登壇した。

 大ヒット作品を輩出し続ける細田監督の最新作は、『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』、『サマーウォーズ』に続き、インターネットの世界を舞台にした勇気と希望の物語となった。先日行われた興行関係者向けの約20分間のフッテージ上映が大評判となり、業界内でも期待が一気に高まっているが、会見前日に完成した本編を見たというキャスト陣からも興奮の声が上がった。中村が「圧倒的」と切り出すと、佐藤も「昨日の余韻が今も残っている。中盤から後半は涙腺刺激されっぱなし。スクリーンから音波を通して脳に直接感動光線を浴びせられている映画体験だった。ちょっとすごかった」と絶賛。さらに、「数秒で凄い作品が始まったと感じた」(成田)、「傑作見ちゃったと思った。本当に。号泣して目がパンパンになり、メイクさんを困らせるぐらいだった」(染谷)、「コンプレックスを持ち、どうやったら乗り越えられるか、肯定できるかと悩んでいた学生時代の自分に見せてあげたい」(玉城)と、リップサービスに留まらない賛辞が続いた。

 細田監督は、スタッフとキャストに感謝の意を示した上で、「インターネットがまだ25年ぐらいしか経っていない世界で、これだけインターネットと現実の関係性を映画にしてきたのは、世界の監督の中でも僕はかなり特別な存在。しかもインターネットを肯定的に描く監督としては世界で僕一人。そこは頑張って表現していきたい」と題材に対して早くから向き合ってきたという自負をのぞかせた。ネット上の仮想世界「U」を舞台に、歌姫のベルと、凶暴な竜のロマンスを描く今作では「インターネットの世界で『美女と野獣』をやったらどうなるのか、ということが発想の最初。インターネットは現実と虚構を合わせ持っている存在で、野獣も二面性がある。18世紀の物語である『美女と野獣』を現代の日本でインターネットを介したら、どう表現できるのか、どんな恋物語になるのか、それが発想の原点。自分も『美女と野獣』が大好きなので、映画にできて幸せ」と作品の骨子を語った。

 また、主人公のすず(ベル)役に、ミュージシャンの中村を抜擢した意図について監督は、「世の中に歌がうまい人、表現力を持った人はたくさんいるが、中村さんは、歌を大事にしているし、歌に愛されている。歌と中村さんが近い存在になっている。日本語がわからない外国の人に聴かせても『すごく良い歌』というのが伝わってくるみたい。それは中村さんの特別な力だと思う」とし、会見の最後に「作るのに苦労した作品。もしかしたらまとまらないんじゃないかと思うぐらい、たくさんの人に参加してもらったが、昨日の初号で一体になった姿をスタッフと共有してみて、この地点までこの映画が来れたことがすごい(と感じた)。自信を持って、皆さんに楽しんでもらえる作品になったと思う」と仕上がりに胸を張った。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。