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『岬の兄妹』一般試写、トークに片山監督ら

【FREE】『岬の兄妹』一般試写、トークに片山監督ら

2019年02月23日
 映画業界内外から賞賛の声が上がり、公開を前に新宿バルト9ほかT・ジョイ系列での拡大上映も決まった自主制作映画『岬の兄妹』の一般試写会が21日ユーロライブで開催、上映後にトークイベントが催された。片山慎三監督をはじめ、作家の樋口毅宏氏、映画評論家の森直人氏が登壇した。

 『岬の兄妹』は、障碍をもつ兄妹が犯罪に手を染めたことから人生が動き出す、地方都市の暗部に切り込み家族の本質を問う衝撃作。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭のコンペティション部門に応募された日本映画のなかから劇場公開を約束する「 “最速・最短” 全国劇場公開プロジェクト」と題した企画で優秀作品賞・観客賞のW受賞に輝き、全国公開される。

 ポン・ジュノ監督をはじめ、様々な監督のもと助監督を務めた片山監督。ポン・ジュノ監督との思い出を聞かれると「本作を撮る前から構想について話していた。その時、どういう意図なのかわからないし教えてもくれなかったが、脚本なしで撮ってみたらいいとアドバイスを受けた」と告白。同作は1年間、四季折々の撮影を行い、その都度、脚本を書きながら撮影してを繰り返し、完成まで二年以上かけた妥協なき長編初監督作品だ。

 さらに片山監督は、「いわゆる新人監督の商業映画デビュー作品というと、普通は2週間くらいしか時間が無い。それならば、と自分の財布だけでスケジュールも含め全てコントロールして撮影しようと決めて撮った。理解ある俳優やスタッフの方々だったのが幸運だった」と振り返った。障碍のテーマを選んだことについて問われると「親戚にダウン症の子がいて、個人的に思い入れもあり、ボランティアでそういった教室に参加して実際に触れ合った」と語った。

 樋口氏は「こんなにコンプライアンスを気にしない作品を目撃し、ただただ驚いた。『カメラを止めるな!』に続くのはこの作品だし、こういう映画がヒットしないとおかしい」と叫んだ。同様に森氏も「この映画がやっていることは現状の日本映画界に対する挑戦。だから僕もこの映画を応援して色々とご協力している。ここから伝説が始まる」と太鼓判を押した。

 後半には客席で観覧していた主演の松浦祐也氏と和田光沙氏も登壇。笑撃の “うんこバトル” シーンについて、監督は「八丁味噌、白みそ、バナナ、練乳などを混ぜ、天日干しして8時間かかった力作」と冷静に解説。それをお尻に塗った松浦氏は「かぶれて大変なことになった」とぼやいた。また、そのシーンへのオマージュとして、株式会社うんことのタイアップTシャツ(限定100枚、上映館で販売)を登壇者全員で着用のうえ宣伝。売上の一部は障碍者の人たちへの就労支援を目的にした支援団体へ寄付するとのこと。

 映画『岬の兄妹』は3月1日(金)よりイオンシネマ板橋、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国順次ロードショー。配給はプレシディオ。配給協力はイオンエンターテイメント、 デジタルSKIPステーション。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。