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ポノック、短編アニメ制作のレーベル設立

【FREE】ポノック、短編アニメ制作のレーベル設立

2018年03月28日
 昨夏、第1弾長編アニメ映画『メアリと魔女の花』(監督:米林宏昌)が興収32・8億円をあげる成功を収めたスタジオポノック。27日、東宝本社で会見が開かれ、挑戦的な短編アニメを制作・公開する新レーベル「ポノック短編劇場」が発表。新レーベルの第1弾『ちいさな英雄‐カニとタマゴと透明人間‐』が東宝配給により、8月24日全国公開される。

 当日は、スタジオポノック代表取締役プロデューサーの西村義明氏、東宝常務取締役の市川南氏が登壇し、新レーベル設立のなりたちを説明した。

 冒頭、市川氏は「お陰さまで『メアリ』は夏休みの超大ヒット作品となった。大ヒットの打ち上げをした時、西村さんから、ジブリに縁の深い3人の超実力派が短編アニメを作る、それを東宝で配給してほしいと提案を受け、一も二もなくやりましょうとお返事した」と発端を語り、「この企画に日本テレビさんと電通さんが乗った。激戦区ではあるが、8月24日全国公開で決め、100を超えるスクリーン数を用意する。スタジオポノックさんとしても、東宝としても新しいチャレンジになるが、応援のほど宜しくお願いします」とコメントした。

 西村氏は「なぜ僕達が短編アニメを作ろうとしているのか。高畑勲監督、宮崎駿監督はアニメの豊かさを信じ、常に新しいことを先駆的に行うことで背中を見せてくれたが、彼らが作った土台の上にあぐらをかいてはいけない。アニメの豊かさを再発見するためには、僕達がその土台を作らなければならない」と宣言し、「前に進むためには、ひとつの挑戦をしなければいけない。表現がマンネリズムに陥ってはいけない。実写には多くの映画祭や、コンペがあるが、アニメが挑戦する場を持つことができるのは、大会社か、もしくは僕等のような、吹けば飛ぶような会社かのどちらかしかない。僕等が吹けば飛ぶような会社であれば、何も恐れることはない。短編アニメだからできる表現、描ける内容がある。多くの才能やチャレンジに出会う場として、このレーベルを立ち上げた」と思いを込めた。

 第1弾『ちいさな英雄~』は、米林監督『カニーニとカニーノ』(15分、7月下旬完成)、百瀬義行監督『サムライエッグ』(15分、7月完成)、山下明彦監督『透明人間』(14分、4月中旬完成)の3つの物語で構成。

 『カニーニ~』は、米林監督初のオリジナルストーリー。昨年、子どもが生まれた米林監督が“誕生”をテーマにカニの兄弟の冒険ファンタジーを描く。『サムライ~』の百瀬監督は、高畑監督の右腕として活躍した人物。たまごアレルギーを抱えた少年との出会いを創作のもとにし、“生命力”がテーマの人間ドラマに挑戦する。『透明人間』の山下監督は、宮崎監督作品の中心を担ったアニメーター。物や人物を描写するアニメの“表現性”に対し、「透明人間」を描くというチャレンジングなアプローチをかける。

 この日発表されたキャストは、オダギリジョー、尾野真千子、田中泯。音楽は中田ヤスタカ、村松崇継が手掛ける。

 また、西村氏は、アニメ監督に限らず、実写、国外、他ジャンルからの監督参加も視野に入れていることや、スタジオポノックは長編アニメを制作する合間に同レーベルを進めていくことなど、今後の方向性にも触れた。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。


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