東映製作・配給『花戦さ』の公開直前記者会見が29日、有楽町の東京国際フォーラムで開催され、出演の野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市、高橋克実、山内圭哉、和田正人、森川葵、吉田栄作、監督の篠原哲雄の11人が登壇した。
原作は、鬼塚忠の同名小説(角川文庫刊)。圧倒的な武力を背景に弱者を虐げた戦国時代の権力者に対して、「刃=力」ではなく「花=心」で戦を仕掛けたいけばなの名手・池坊専好(いけのぼうせんこう)を描いた時代劇エンターテイメント。
池坊専好役の狂言師・野村萬斎は「十数年を描いた本作だが、人生の半分を生きるほどの濃い体験をさせて頂いた。(豊臣秀吉役の)歌舞伎俳優・市川さんとは初めての共演。僕等は型のある古典芸能の人間であり、ホンに書かれたことを緻密に演じもするが、いかなるダイナミズムな演技を市川さんが発するのかと楽しみだった。市川さんの秀吉は、イヤなやつだがチャーミングにも見え、素晴らしいものだった」と市川の演技を絶賛した。
これを受けて市川は、「能と歌舞伎は、近いようで遠い存在だった。昔は、同じ舞台に立つことは絶対になかったし、今でもなかなかない。今回、映画という舞台でそれが実現し、嬉しかった。ただ、私の役柄上、大先輩の佐藤浩市さんの頭を踏みつけてしまい、野村さんとのシーンでも、本当はニコニコと芝居したかった。役だから仕方がなかった(笑)」と返答した。
篠原監督は、「この様な素晴らしい俳優さんと仕事ができ光栄。本作は池坊さん(四代目)にも大変お世話になっており、200近い花を提供頂き、映画の中でそれらを萬斎さんが活ける。様々な協力を得ながら、(千利休役の)佐藤浩市さんがたてるお茶も含め、日本文化の基礎が築かれた頃の話を描いた。時代劇ではあるが、文化がその時代にとっていかなる力を発揮するのかということを伝えられると思う」と作品の魅力をアピールした。
なお、会見後に有楽町朝日ホールで行った完成披露試写会には、高円宮妃久子殿下、絢子女王殿下が出席し、鑑賞した。
製作委員会は東映、木下グループ、東映ビデオ、竹田本社、エネット、たねや、エスカワゴエ、ANA、朝日新聞、日本出版販売、デスティニー。音楽は久石譲。劇中絵画は小松美羽。題字は金澤翔子。協力は表千家不審菴、裏千家今日庵、武者小路千家官休庵。監修は華道家元池坊。6月3日全国公開。