「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016」は16日より開催、最終日24日にはクロージング・セレモニーを行った。当日は、長編(国際コンペ)、短編(国内)、アニメーション(国内)の3部門各賞を発表。長編部門グランプリ作品には、昨年のキューバ映画『ビヘイビア』に続いて、同じくラテンアメリカのメキシコ映画『朝日が昇るまで』(アレハンドロ・グスマン・アルバレス監督)が輝き、副賞として賞金100万円が授与された。
同作は、広い世界を夢見る太っちょの男、機械いじりは得意だが友だちのいない若者、強い妻の尻に敷かれている、太っちょの義理の弟の3人の男たちを、愛おしく描いたヒューマンドラマ。セレモニーに出席したアレハンドロ監督は、「映画制作は、メキシコでも、世界中どこでも困難なもの。今回のグランプリ受賞は、これからも映画制作を続けていくエネルギーになる」と受賞の喜びを語った。また、国内作品に贈られるSKIPシティアワードは、他人の葬儀で泣く仕事 “泣き屋” になる女性が描かれた藤村明世監督『見栄を張る』が獲得した。同賞は、受賞者の次回企画に対して、彩の国ビジュアルプラザ内の映像制作支援施設、設備の一定期間の利用を提供するもの。藤村監督は、「映画祭で初めて賞を頂いた。1年前は将来の不安などで絶望の淵に立たされていたが、やはり映画を撮りたいという一心で大阪に向かい、制作した。この賞をキッカケにして自分の信じる光に進んでいきたい」と熱く語った。全ての受賞作品は次の通り。
■長編部門
▽最優秀作品賞=メキシコ映画『朝日が昇るまで』(アレハンドロ・グスマン・アルバレス監督)
▽監督賞=オーストラリア=バヌアツ『タンナ』(ベントレー・ディーン、マーティン・バトラー)
▽脚本賞=ベルギー『アヒルからの贈り物』(オリヴィエ・ランジェ)
▽SKIPシティアワード=『見栄を張る』(藤村明世)
■短編部門
▽最優秀作品賞=『嘘をついて』(三ツ橋勇二)
▽奨励賞=『テイク8』(上田慎一郎)、『夕暮れの催眠教室』(井上博貴)
■アニメーション部門
▽最優秀作品賞=『こんぷれっくす×コンプレックス』(ふくだみゆき)
▽奨励賞=『愛のかかと』(円香)、『あたしだけをみて』(見里朝希)
各賞の発表が行われた後、実行委員会会長の上田清司埼玉県知事が登壇し、「埼玉県では、(若手監督の)才能の発掘だけではなく、更なる成功へと導くための様々なプログラムを用意している。映画祭を席巻するエースをぜひとも誕生させたい」と今後の意気込みを語り、副会長の奥ノ木信夫川口市長は、「今年度のオープニング作品『話す犬を、放す』の熊谷まどか監督の様に、再び本映画祭で作品を上映させて頂けることを楽しみにしている」と若手監督たちにエールを贈った。
土川勉ディレクターは、「今年は作品の力が拮抗した。その中で受賞した作品には心から賛辞を送り、選に漏れた監督たちにも、今後の健闘を期待したい」とし、「来年もまた、この場でお会いしましょう」と閉会の挨拶を述べた。