東宝配給『怒り』の完成報告会見が11日、港区のザ・リッツ・カールトン東京で行われ、李相日監督、原作者の吉田修一、企画・プロデュースの川村元気、出演の渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、宮﨑あおい、妻夫木聡の各氏が出席した。
『悪人』から6年、再び吉田の原作を李監督が映画化。一つの殺人事件をきっかけに “信じる” とは?という根源的な問いを投げかける感動のヒューマンミステリーに、日本を代表する豪華キャストが集結した。
群像劇的に描かれる同作は、各キャストが東京編、沖縄編、千葉編に分かれて出演。千葉編の渡辺は「素晴らしい俳優たちが、それぞれパートは分かれているが、肉弾相打つというか、魂をぶつけ合う映画になったと思う。それをリードした李相日監督に敬意を表するばかり。難しい作品だが、たくさんの人に観て頂けるように応援してほしい」と挨拶。
川村プロデューサーは「6年前に吉田さんの『悪人』をお預かりし、李監督と妻夫木聡君と映画を作った。多分な評価を頂いたが、その分同じ監督・原作のチームと『前作を超えなければいけない』という非常に大きいプレッシャーを抱えながらやってきた」と述べ、李監督も「川村君に “『悪人』を超えなきゃだめだ” と発破をかけられていた」と大きな話題となった『悪人』を意識しながらの制作だったことを明かした。また、監督は「吉田さんの原作を出版される前に読ませてもらい、今の時代、不寛容や、人を信じることが難しいことを、吉田さんは小説という形で(描くために)一人で格闘されたことが伝わってきた。それを映画という形でバトンを受け継ぎ、世に出していこうという思いを強くした」と原作への想いを語り、原作者の吉田は「錚々たるキャストと同席させてもらって光栄。『怒り』を書き上げて本当に良かった」と映画化された喜びを表した。
各出演者は、厳しい撮影現場で知られる李組の印象について、実際に大変だったことを口ぐちに語り、渡辺も「東京編、沖縄編と過酷なロケを終えて、千葉編に来ると監督はピンピンしているが、スタッフはボロボロ。戦うというより、一日一日をどう耐えしのぶか」と壮絶な現場を回顧。監督のことを「常軌を逸している」と切り捨てたが、「(作品が)出来上がっちゃうと、 “いいよね” と思ってしまうのが悔しい(笑)」とその手腕を高く評価した。
公開は9月17日(土)。製作は『怒り』製作委員会、製作プロダクションは東宝映画、制作協力はドラゴンフライ、主題歌「許し」は坂本龍一 feat.2CELLOS。