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インタビュー:菅野信三(株)東急レクリエーション専務取締役

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インタビュー:菅野信三(株)東急レクリエーション専務取締役

2008年12月15日


金岡氏が本社に戻った

――映像部門を長らく率いた会田郁雄取締役(前代取専務)が今はゴー・シネマの専任となりました。菅野体制となり5月15日付で、シネコンの首都圏・東日本の統括、川崎の支配人を兼務していた金岡執行役員が本社に戻りました。

菅野 金岡(紀明)は昨年9月の人事異動で、劇場勤務の経験を積んでもらうべく、前職に異動となりました。

――近い将来、本社に戻ってくるというのが大方の見方でした。

菅野 やはりこの業界は人と人との繋がりが大事。私のように外部から突然来ても、何もできません。色んな経緯を知り、人脈があり、仕事もできる金岡に、私をサポートする役割を担ってほしいと思っていました。ですから、本社への復帰が決まった時、映像事業部の副事業部長(兼編成部長)という新ポストを用意しました。事業部長は私ですが、細かな番組の調整などは金岡の権限でやってもらい、何かあれば私が責任をとるし、私が前面に立ってやります。2人で少し役割を変えて、非常にスムーズに仕事が進んでいます。

――執行役員で営業部長の山下さんは、金岡さんが本社に戻る以前は、番組編成と営業(劇場運営)の両方を担当していました。

菅野 昨年9月の組織変更で、番組と営業の両方を見る営業部を作りましたが、組織運営が難しかったというのが現状です。動員、興収が伸びず、競合相手が増えていく中、営業はとても片手間ではできません。一方で、番組編成もチェーンマスターとシネコンと両方があり大変な仕事です。番組と営業を一本化するよりも、しっかり役割を分担し、番組は金岡、営業は山下(喜光)がそれぞれ見るように今年5月から組織を変えました。それで山下も現場に目が行き届くようになりました。
例えば、コンセッション専任担当を本社に配置し、メニュー開発は勿論、原価管理、衛生管理、アルバイトの時間管理などを徹底的に見直しをさせた結果、収益および利益が大幅に改善したという事例もあります。以前はこうした管理面の大部分を劇場に任せていましたが、劇場も忙しいですから、あえて本社の人間を就け、好結果を生みました。

撤退も視野に家賃交渉

――東レクは従来のチェーンマスターとしての機能も持ちつつ、シネコンの番組も組んでいます。渋谷東急チェーンは解消した中で、チェーンマスターの機能を維持するメリットはありますか。

菅野 最初に申し上げた交渉力に影響するんですね。チェーンマスターであることは、一興行者の交渉力よりは強いものです。いずれ時代が変われば必要なくなるかもしれませんが、まだ大きな資産だと思っています。今は需要と供給の関係と言いますか、配給会社はチェーンマスターを通して全国でのブッキング数をほぼ自動的に確保できます。こうした必要性があるわけです。

――サロンパスルーブル丸の内は、サロンパス(久光製薬)との契約が11月末で切れます。

菅野 サロンパスに代わる次なるスポンサーを現在審査中です。何社か候補があり、今月中に決めます。館名もスポンサーが決まれば、丸の内ルーブルに戻すのではなく、今のようなスポンサー企業名が付いた館名になる予定です。

――採算分岐点を下げるために、売上増とともに、コスト削減が欠かせません。

菅野 家賃、映画料、人件費、水道光熱費など、それぞれ改善しています。

――家賃交渉は、興行界の経営的な厳しさを材料に交渉を進めていくわけですよね。

菅野 条件が折り合わなければ、撤退も視野に入れた交渉の仕方をしています。古い劇場の収益性が、ここ1~2年で著しく悪化しています。前述の港北だけでなく、木場(東京都)、高崎(群馬県)、富谷(宮城県)などもそうですね。いずれも以前は利益貢献していた劇場でしたが、競合館ができて売上が激減しました。冷静に考えれば、赤字の状態で続ける必要性は全くないわけです。とは言え、やめるとなると特別損失も発生するので、何ヶ所も一度にやめるわけにはいきません。粘り強く交渉し、家賃が下がった劇場もあります。

(全文は文化通信ジャーナル11月号に掲載)

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