特集:2年目の「国際ドラマフェスティバル」
2008年09月24日
開催時期は、東京国際映画祭の一環で以前より開催している映像マーケット「TIFFCOM」の開催(10月22日~24日)と合わせて設定され、10月22日(水)・23日(木)に明治記念館(昨年は青山スパイラルホール)で開会式典やシンポジウム、新設の国内アウォード・イベントを開催。放送コンテンツ・マーケットは、「TIFFCOM」と共催して、六本木ヒルズ森ビルで10月22日(水)~24日(金)開催する。その「TIFFCOM」会場には「国際ドラマフェスティバル」の大きな特設ブースが設置され、PRおよびイベントが行なわれる予定。
第2回開催に先駆けて行なわれた記者会見で 実行委員会副委員長兼EPの重村一・ニッポン放送会長と、委員の杉田成道・日本映画テレビプロデューサー協会会長は、大要次のとおり意気込みを語った。
●重村一・実行委員会副委員長兼EPの話 日本のテレビ産業では番組制作費に1年間で約2兆円が投入されている。それと比較して、海外への番組販売売上は1年で100億円といわれ、その中でもドラマは約30億円だといわれている。これほどまでに国内だけでリクープしているコンテンツも珍しい。これまでそれでも大丈夫だったのは、テレビ広告費が右肩上がりできていたので回収できていたし、費用対効果の関係でそれほど海外への関心も高くなかったとおもう。それが今やテレビ広告費も頭打ちの状態となっていることが明確となり、国際的に通用するクオリティーを持ったドラマ、国際的競争力のある商品にドラマを仕立て上げなくてはと考えるに至った。放送業界の各団体が参加し、権利者側の団体さんにも参加していただいて、まさに業界をあげてのドラマフェスティバルとすることを考えている。中でも今年は、東京国際映画祭の関連マーケット「TIFFCOM」と緊密に協力し、TIFFCOMにドラマフェスが積極的に参加するとともに、演出面でも協力することになった。また芸術性・クオリティーを重視したテレビアウォードは国内にもいくつかあるが、海外に通用する作品ということを重視した、市場性・商業性重視の本格的なアウォードもスタートする。これで日本のテレビ作品のマーケット作りも一歩前に進めると思う。日本のドラマは、海外でうれるかということを考えて作っているわけではないが、昨今のグローバル化の中で、ドラマ自体がきちんとできていれば、必ずニーズはあると思う。これは制作者側でも(テレビ業界に存在している)視聴率中心主義の排除へとつながると考える。
●杉田成道・実行委員の話 アウォードは、連ドラを中心とした、海外からのニーズに合わせたものとなる。これまでの国内テレビ番組アウォードは各局芸術性の高い単発ものが中心となっていたと思う。ドラマと映画の連動など、垣根が崩れてきている中で、テレビの連ドラは今後の世界マーケットでも中心となっていきたいし、テレビ局にとっても今後を左右する位置づけとなると思う。また、テレビアウォードでは、個人賞は実はあまりなかった。ほとんどが作品賞で、テレビの製作過程からもそうなっていたのだが、俳優さんやスタッフに対しても顕彰していき盛り上げていきたいと思っている。また、テレビは今、ドラマの危機に瀕していると個人的には思っている。それは、視聴率的にも明らかに視聴者が離れていると、ドラマの制作者側は実感している。あの「渡る世間は鬼ばかり」でさえ(クオリティーは変わっていないはずなのに)以前のような高視聴率は取れなくなっていて、視聴者が変わっているとしか思えない状況だ。そんな中で、ドラマはテレビ番組単体では成立しにくくなり、映画との連携とか、モバイル連動とか、スピンオフとか何かしなければいけなくなってきており、比較的制作費が安く済む、バラエティーやスポーツものに取って代わられるということに危機感を感じている。