インタビュー:村上主税TOHOシネマズ(株)代表取締役社長
2008年09月17日
劇場従業員は当面異動せず ??3月1日から北海道を除く全国の東宝系劇場のほぼすべてが、TOHOシネマズという一つの会社の直営となりました。これから地域間、劇場間で支配人ら劇場従業員の異動が活発に行われていくのでしょうか。 村上 当面は劇場従業員の異動は行わないということで、従業員にも話をさせていただきました。当社の場合、北は青森、南は鹿児島まで劇場を展開しています。文化、商慣習など地域差がありますから、いきなり不慣れな土地に転勤するとなると、会社合併で生じた負担だけでなく、新たな負担を従業員に強いることになりかねません。劇場従業員の異動に関しては、本人からたっての希望がなければ、しばらくは様子を見ようと思っております。
??今年3月1日を迎えるまでに、相当な苦労をされたようですね。それでは、5社の合併以降の現状はいかがですか。 村上 おかげさまで、想像していたより順調に進んでいます。やはり、5社合併に向けてグループが一丸となって、それぞれの各分科会や各部会の担当者が課題に真剣に取り組んだおかげであると感謝しています。と同時に、それらを受け入れてくれた従業員の皆様にも大変感謝しております。
今回は06年10月の東宝(株)興行部とTOHOシネマズとの統合の時に比べて準備期間があったことも幸いしております。東宝?興行部とTOHOシネマズの統合が承認されたのは、06年6月27日の取締役会でしたから、同年10月の統合まで3ヶ月余りしかなかったのです。当時は私が興行部の担当、TOHOシネマズ社長は三屋(秀明)東宝?現常勤監査役でしたが、あの時はその3ヶ月強の間に、今回の5社合併に向けて行ってきたのと同じ作業を凝縮して行いました。それに比べると今回は1年半という猶予がありました。
??今回の5社合併に向けて、東宝グループの興行会社が共通で取り組んできたことはありますか。 村上 TOHOシネマズの創立10周年を記念して、07年9月より各種イベントを実施しています。例えば、1年間を通じて毎月14日(10〈トウ〉4〈フォー〉)を“TOHOシネマズデイ”として、鑑賞料金を1000円にするキャンペーンを行っていますが、好評につき実施期間を09年8月14日まで1年間延長しました。こうしたイベントは、5社の中で会社を問わず、“TOHOシネマズ”という館名を持つ劇場を中心に行っており、合併に向けたステップアップとして重要な役割を果たしてきました。
新任取締役に豊田氏、黒崎氏 ??今年5月、新任取締役が2名選任されましたが、その経緯についてお聞かせいただけますか。 村上 5月20日付で豊田朋泰、黒崎徹也の両名を取締役に選任しました。
5社合併により、スクリーン数もサイト数も増えましたし(7月31日現在、507スクリーン直営)、従業員数もアルバイトを含め4500人(社員400人強)という大所帯になりました。しかし規模の大小に関係なくスリムな本社、スリムな経営を目指したいのですが、一方で映画興行を取り巻く環境は毎年厳しさを増しています。時々刻々と移り変わる環境の変化に、柔軟かつ俊敏に対応するためには、役員の増強が必要であると判断した次第です。
(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」08年8月号に掲載)