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インタビュー:亀山千広 フジテレビジョン 執行役員常務 映画事業局長

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インタビュー:亀山千広 フジテレビジョン 執行役員常務 映画事業局長

2008年06月11日
新しい芽が出てきて欲しい

―08年のラインナップのポイントはどの作品になりますか。

亀山 昨年は批判承知の上でTVドラマの映画化を大前面に押し出した。両方とも認知度のある作品、SMAPの香取(慎吾)くんと木村(拓哉)くんという、押しも押されぬ、横綱の作品を2本。それからいうと「アンフェア」や「ゲゲゲ」のヒットのようなものが一本あると挑戦できる。今後は大きいものも挑戦していこうという感じなので、三谷(幸喜)さん作品にしても、「少林少女」にしても。「容疑者X」にしてもキャラクターは借りてますが、TVドラマ「ガリレオ」のそのままの映画化では決してない。だから結構今年は自分たちの中では、こういう芽が出て来るといいなあというところがあるので、ある程度ビジネス的に次を見込めるという安心感はない。ひょっとしたら凄い痛い目にあうかもしれないし、ひょっとしたら凄く化けるかもしれないという要素を持っているラインナップだと思う。一つ一つの作品を語れと言われれば全部僕の中ではハンコを押している理由がある。ただ利益だとか、興収だとかではないところで新しい芽が出て来てくれると、次がやりやすい。つまり今年で終わりではないので。

―映画事業局になって5年、今年はさらに一段上に挑戦すると。

亀山 挑戦というか、結局作って稼ぐ、または作って認知させていくしかないので、やっていることは結局一緒。でも、興行的に飛躍的な進歩を遂げようと思ったらもっと人数が必要。もっと大きい映画会社作れるくらいの規模で本数を増やしていけたらいいけど、結局そんなことしたところで、配給能力も持っていないし、劇場も持っていない。TVだと製作・編成・放送が一貫してできるけど、映画ではただの製作会社でしかないことは間違いない。製作会社の限界は作る本数がヒットするかしないか。安定的に見られるものを供給していくけど、ずっとそれをフランチャイズで回していっては意味がない。そういう中で言うと、今年の作品群は自分の中ではチャレンジングではあるなと。相も変わらずハードルの高い目標を掲げられているので、休むわけにもいかない(笑)。


「踊る大捜査線3」の可能性

―ズバリ、開局50周年に向けた記念作品は。

亀山 正直、開局50周年だからというのは、映画において必要なのか。つまりTV番組って、自分のチャンネルですよね。映画として50周年だから何かをしなければいけないというのではなくて、自分たちがこれは50周年の中で、ある種のお祭りでやってみたいというのがちゃんと成立すればそれに付ければいいというくらい。でも、来夏の興行にスタジオジブリさんが来ないのであれば、東宝さんに空いてますかと。昨年が50周年だったら「西遊記」「HERO」に50周年と付けただろうし、そういうことだと思うんです。つまり、これはTV局の都合だけなんですよ。TVの画面から出て来るには50周年でいいんですよ、視聴者はね。映画は、まだ出来て1年の劇場でフジ開局50周年と言われたところで、関係ない気がするんです。僕自身がそうですから(笑)。だからそんなに50周年は意識していない。

 なんでこんなことが言えるかと言うと、「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の時に、中途半端に開局45周年と付けたわけですね。あの時も付けても付けなくてもいいよと言われたのを、お台場舞台だし付けましょうかと勝手にロゴまで作って付けたんです。でもあんまり視聴者は関係ない。しかも全国で一気に興行するという時に、そのエリアは系列のエリアなので、それを声高に言ったところで関係ない。でも、映画の興行の場合にはフジテレビのエリアのシェアは、全体の20~30%を稼いでいるわけです。50周年だからどうこうというよりも、お祭りがきっちり出来るものが決まればやる、そのつもりで動いている作品はあります。お祭りになる要素があるかないかで言えば、例えば、僕らの中で3つ4つ出て来て、じゃあやろうかという気がする。一本とは限らない。お祭りにするということはやはりオリジナルでやりたい。でも、50周年の冠つけたらコケられない。いつもコケられないけど、50周年だから何百億円いかないといけないというプレッシャーも嫌だし、だったら付けないで欲しいと思いますしね。ですから、映画事業の中ではあまり意識しないで作らせたい。あとでポコンと、付けたいという気持ちです。



画像は 「少林少女」の1シーン
(C)2008フジテレビジョン/ギャガ・コミュニケーションズ/S・D・P/ROBOT/クロックワークス

(全文は「月刊文化通信ジャーナル」08年4月号に掲載)

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