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インタビュー:濱名一哉 TBSテレビ 映像事業センター映画事業部長

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インタビュー:濱名一哉 TBSテレビ 映像事業センター映画事業部長

2008年05月20日
08年は「花男」「私は貝」

本誌 08年ラインナップについて教えて下さい。

濱名 今年は既に2月9日公開の「チーム・バチスタの栄光」(3月10日現在、31日間興収14億円)から来年1月公開予定「感染列島」も含めれば計11本です(表参照)。そのうち主幹事作品は9本になります。目玉としては、やはり「花より男子~ファイナル~」(6月28日公開)と「私は貝になりたい」(今年冬公開)の2作品ですね。「砂時計」(4月26日公開)は、人気コミックを昨年TBSの昼帯でドラマ化し高視聴率を獲得した作品の映画化なので期待しています。

※「花より男子」は人気コミックが原作、TBSドラマで05年10月~12月放送し平均19・8%(関東地区)、07年1月~3月のパート2では平均21・6%(同)を記録、“花男ブーム”を巻きこした人気作品の映画化。「私は貝になりたい」は、テレビ創世記の昭和33年に制作され、テレビ史上に残るTBS不朽の名作ドラマを約50年の時を経て、中居正広を主演に迎えて映画化。両作品にかけるTBSの意気込みは強い。



連ドラの映画化3本

本誌 今年公開作品では、連続ドラマから映画化した作品が「クロサギ」「砂時計」「花より男子」3本と多いですね。

濱名 例年ではあまりなかったことですね。テレビから生み出していくという連動が中々図れませんでしたが、今後はこうした展開を継続していきたいと考えています。テレビ局が製作する映画は、安易な映画と批判されることもありますが、出版社が原作を映画化するのが当たり前のように、テレビ局が番組コンテンツを映画化するのも当たり前なのではと思っています。もちろん、映画に相応しいものでなくてはいけないでしょうけど。そうしたテレビからの映画と、これまで8年ぐらい培ってきたオリジナル映画と、両方をバランスよく出来ればと考えています。それにプラスして、ファミリーアニメ映画を独自開発して、その分野でも面白いものをやっていきたい。それらをバランスよくラインナップに組んで、いい成果が上げられればと思う。直近ではそれがTBSの目指す姿かなと思う。


本誌 このところTBSの連続ドラマは視聴率的に苦戦している。ドラマからの映画化の今後の見通しはどうでしょうか。

濱名 以前は若い人たちが早く家に帰ってドラマを見るような時代でしたが、今はそういう時代でもなくなってきているので、視聴率を獲るのが難しくなっていることはあります。いま、編成とは月2回ぐらい話し合いをしている。少し前までは一堂に会することはなかったけれど、垣根を払い、編成と映画の連動や視聴率、プロモーション的な戦略面も含めコミュニケーションをとっている。今回連続ドラマ3作品が映画化するように、その成果が徐々に花開いていると思う。これからのことはご期待頂きたいと思います。
それと、邦画は以前“ダサイ”というようなイメージがありましたが今は違います。私は時々大学で講義するのですが、300人の学生たちに聞いたところ、洋画を観るより邦画の方が多いのにビックリしました。邦画に追い風があるんですね。そういう中で、ドラマは、その先に映画があるかもしれないというのが牽引して面白くなってくると思う。映画の存在が逆にドラマにいい作用をしてくるということが今後出てくるのでは。ドラマの制作陣の意欲も違うと思いますしね。


本誌 TBSのディレクターが映画を監督するケースが増えていますね。

濱名 今年のラインナップでは、「クロサギ」「花より男子」の石井康晴、「ICHI」の曽利文彦、「私は貝になりたい」の福澤克雄の3人です。「私は貝になりたい」は、福澤が以前からやりたいと思っていて、3年ぐらいかけた渾身の企画なんです。TBSには優秀なドラマディレクターがたくさんいて、映画を撮りたいというモチベーションを持つディレクターは多い。ただ、スケジュール的に合わなくて、やりたくても出来ないことも多い。テレビ局のディレクターが映画を監督することは今後も増えるだろうし、増やしていきたいと思う。ただし、あくまで本業はドラマという軸をぶらざずですが。

 ※文中の写真2枚は、それぞれ映画「砂時計」の1シーン



◆濱名一哉 TBSテレビ 映画事業部長の略歴
1956年生 51歳。
大学卒業後、山本又一朗プロデューサーのもとで修行し、その後セゾングループに身をおき映画「帝都大戦」、「ジパング」などを制作した。(プロデューサー名山下雄大として)。
1993年TBSに入社し映画担当として「高校教師」「アンドロメディア」「陰陽師」「いま、会いにゆきます」「NANA」「日本沈没」「涙そうそう」「クローズZERO」「恋空」など数々の大ヒット映画をプロデュースする。昨年第26回藤本賞を受賞した。



(全文は「月刊文化通信ジャーナル」08年4月号に掲載)

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