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訪問レポート第一弾:さいたま新産業拠点「SKIPシティ」

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訪問レポート第一弾:さいたま新産業拠点「SKIPシティ」

2007年08月08日
 ここで映像ミュージアムは終了。まだオープニングセレモニーまでは若干時間があったため、別館NHKアーカイブス2階の公開ライブラリーまで足を伸ばしてみた。
 過去のNHKの番組を自由に見ることのできる同ライブラリーは72の試聴端末があり、懐かしい紅白歌合戦の映像なども楽しむことができる。筆者は、あとで上映会の行われる「夕凪の街~」のテーマである原爆についての番組「原爆の絵」を視聴。すぐに立ち去る予定だったが、被爆者たちが描く原爆の絵のリアルさに圧倒され、しばらくのめりこんでしまった。

「オープニングセレモニー」は大盛況

 そうこうしているうちに、オープニングセレモニーの時間が迫り、会場のある映像にホールに向かうことに。エレベーターから降りると、開場を待ちわびる人の行列が目に入った。最悪な天候の中、筆者がシティに到着した時はほとんど人が見当たらず、映画祭の盛り上がりを心配したが、デジタルシネマの映画祭に対する注目度の高さが伺えた。また、会場には日本人のみならず、多くの外国人が来場。325名を収容できるそうだが、筆者が席に着いた時にはほとんど席が埋まっている盛況ぶりだった。

 華々しくセレモニーが始まり、まずは上田清司実行委員会会長が挨拶。上田氏は挨拶の中で、「同映画祭は今年で4回目を迎える。年々多くの方に参加して頂き、この映画祭もさらに盛り上がりを見せている。今年は長編が69カ国433本、短編が国内で328本が集まった。国、本数とも今回が最多」とコメント。
 続いて登壇した岡村幸四郎川口市長は、「第1回目も雨の日で、この席の3割程度しか埋まらなかったが、4回目にして一つの空きも無く、多くのお客様に来て頂いた。東京国際映画祭に参加した国の数は66カ国。その数字を見ても、この映画祭に参加頂いた69カ国という数字の凄さがわかる」と映画祭の盛り上がりについて話した。
 
 興味深かったのは、瀧沢裕二同映画祭ディレクターの話した応募作品についての特徴。「今年は応募作品の約半分が子供にまつわる作品。これは会議でも話題となった。まるで大人が言葉を失ってしまったように、子供に語らせている作品が多かった」とコメント。映画は時勢を表すものらしいが、世間の現在の関心は子供に関するものなのだろうか?
 さらに瀧沢氏は「例年ドキュメンタリーものが多いが、今年はドラマが充実していた。力のある役者を使った、力のある監督がデジタルで映画を作ることに力を入れ始めたのではないか」と話し、デジタル映画の浸透に手応えを感じている様子だった。

 役員挨拶が終了すると、同映画祭ノミネート作品の関係者が登壇し、続けて高嶋政伸短編部門審査委員長をはじめとする審査員も登壇。約30名による華やかな写真撮影が行われた。



 その後、会場は同シティにて撮影が行われた「夕凪の街 桜の国」(配給:アートポート)の舞台挨拶へと移り、キャストの登壇の前には、同映画中にも演奏曲が流れる内田奈緒によるハープ演奏が行われ、美しい音色で会場を魅了した。
 続いて佐々部清監督、主演の田中麗奈、吉沢悠が登壇。美しいドレスに身を包んだ田中の登場で会場の盛り上がりもピークに達し、それぞれが同作品への思い入れを語った後、本編の上映会が行われた。さらに上映後には、映画祭の成功を祈願してオープニングパーティが開かれ、映画祭の初日は幕を閉じた。

~SKIPシティ取材を終えて~

 朝から夕方まで同シティで取材を続けたものの、結局全ての施設を回りきることはできなかったが、子供から大人までが楽しみながら映像の仕組みを学ぶことのできる有意義な施設だと感じた。
 また、同シティは映画の撮影現場としても確実に存在感を増しており、「夕凪の街~」舞台挨拶に出席した吉沢は、「これまで出演した作品の中で、『夕凪~』が撮影されたここ(SKIPシティ)のセットが一番大規模だった。おかげで自然と役に入り込めた」とシティへの思いをコメント。また、来年公開予定の山田洋次監督新作「母べえ」も同シティで撮影が行われたように、映画関係者にとっても同シティは今後目を離すことのできない場所となりそうだ。

追記:なお、同映画祭最終日の22日に行われた長編・短編コンペティション部門の授賞式結果は次のとおり。
■長編部門(国際コンペティション)
 ☆最優秀作品賞=「うつろいの季節」(06年/トルコ・フランス/監督:ヌーリ・ビルゲ・ジェイラン)
 ☆新人監督賞=ネナド・ジューリッチ監督「空からの贈りもの」(06年/ボスニア・ヘルツェゴビナ)
 ☆脚本賞=「月の子供たち」(06年/ドイツ/監督:マヌエラ・シュタッケ)
 ☆技術賞=「スカイマスター、空飛ぶ一家のおとぎ話」(06年/デンマーク/監督:ミカエル・ウィケ、スティーン・ラムスセン)
 ☆審査員特別賞=「ハートラインンズ」(06年/南アフリカ/監督:アンガス・ギブソン)
■短編部門(国内コンペティション)
 ☆最優秀作品賞=「レッツゴー番長デッドオアアライブ完全版」(06年/監督:鈴木専)
 ☆激励賞=「星屑夜曲」(06年/監督:外山文治)
 ☆激励賞=「あかね雲‐初恋‐」(07年/監督:阿曽多寿子、川口鉄也)

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