インタビュー:佐藤仁東急レクリエーション代表取締役社長
2007年06月20日
――新宿はいかがですか。近い将来、歌舞伎町の再開発に伴い、TOKYU MILANOビルを閉鎖すると聞いています。
佐藤 ここは当社所有の土地・建物で、渋谷の文化会館と同じ年に建てられました。すでに50年が経ち、当然ながら老朽化が進んでいます。それに新宿の人の流れも変わりました。南口が再開発されて、今度は新宿バルト9ができた、来年秋には松竹のピカデリーの再開発も完成する。歌舞伎町に行かなくても他の場所で映画を見ることができるようになって、ますます歌舞伎町が地盤沈下する恐れがありますから、再開発をしないといけないという判断です。
――スケジュールは決まっていますか。新宿ピカデリーの再開発ビルのオープンに合わせて、歌舞伎町の再開発に着手するとの噂もありますが。佐藤 具体的なスケジュールは未定です。地権者である東宝、ヒューマックス、東亜興行、当社の4社共同で再開発ができないかということで、すでに検討に入っています。今年中には一つの方向性が定まりそうです。5、6年後をメドに完成させるくらいでしょうか。
――歌舞伎町にシネコンを作るとなると、注目も大きいはずです。どの程度の規模のシネコンを想定していますか。佐藤 やっぱり国内最大級のものを作りたいですね。今、歌舞伎町にスクリーン数は15、座席数は7300くらいあって、年間で200万人程度動員しています。シネコンは20スクリーン、5~6000席規模で、最大の劇場は1000席を超えるものがあったらいいですね。新宿ミラノ1(旧新宿ミラノ座/1064席)より大きいくらいのものがあれば、試写会や映画祭など色々な使い方ができると思います。
東京西南地区で主導権――新宿TOKYU MILANOが一時的になくなる場合、渋谷の時と同様に収入、利益を補完しなければなりませんね。佐藤 会社全体としては、利益の約4分の1を新宿TOKYU MILANOから出しています。スポーツ・レジャー事業部に限って言えば、ボウリング場、ファミリーマートとモスバーガーのフランチャイズも含めて、スポーツ・レジャー事業部の利益の9割は新宿の事業所から出ているんです。ですからスポーツ・レジャー事業部としては、新宿が閉鎖すると、その存在意義が問われてしまうことになります。そのくらい重要な事業所なんです。
――具体的には、どのように新宿の減収減益分を補っていく計画ですか。佐藤 今後2年間、今年と来年くらいまでに新宿から出ている利益を他の事業できちんと補完できるようにしなければなりません。渋谷の閉鎖に伴って整えてきた15ヶ所のシネコンが利益補完に寄与するでしょうし、不動産事業部には大型サブリース物件を頑張って更に開発してもらいたいと思っています。スポーツ・レジャー事業部にも新しい事業を考えてもらわなければなりません。新宿が閉鎖されている間は利益の殆どがなくなってしまうわけですから。良い物件があれば、特に多摩田園都市を含めた東京西南エリアで、スポーツ・レジャー事業部として一つきちんとした施設を開発したいと思っています。単なるボウリング場ではなくて、複合的なアミューズメント施設、つまりラウンドワンが手掛けているような施設をイメージしています。従来からのフットサルに関しても、早く10サイト体制(現在8サイト)にして、その業界内での存在を示したいですね。
――二子玉川の再開発の進捗状況はいかがですか。佐藤 今年6月頃から東急電鉄が二子玉川の再開発工事に着手しますが、その第2期でシネコンを入れる方向で協議しています。完成は渋谷、新宿と同じく5、6年後を想定しています。二子玉川にシネコンを建設できれば、東急グループの金城湯池と言われている多摩田園都市における当社の存在意義をきちっと示せると思うんですね。これまでセンター南(港北)、南町田(グランベリーモール)に作り、多摩田園都市ではないですが川崎、横浜みなとみらい(MM横浜)と周辺に作って、多摩田園都市エリアを固めてきました。そして、二子玉川に出店すれば、多摩田園都市エリアの基点を押さえられる。同時期に渋谷と新宿にもシネコンを作れば、東京西南エリアで当社が主導権を握ることができるだろうと考えています。
これらの再開発プロジェクトは経営企画室が担当しています。これまで僕が専務の時に経営企画室を見ていましたが、これを社長直轄にして、僕のところにストレートに情報が上がってくる、僕からストレートに指示が出せるような体制にしました。執行役員の岡(浩司)経営企画室長を中心に、渋谷、新宿、二子玉川の再開発を実現させます。
佐藤 仁(さとう ひとし) 2007年3月末現在の役員体制生年月日1951年7月7日
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出 身 地宮城県
学 歴1975年3月 立教大学経済学部卒業
職 歴
1975年 4 月東京急行電鉄 入社
1995年10 月東急レクリエーション 入社
経営企画室長 兼 経理部長
1997年 3 月取締役
2001年 2 月スポーツ・レジャー事業部長
2002年 5 月常務取締役
2004年 9 月映像事業部長
2006年 3 月専務取締役
2007年 3 月代表取締役社長
(全文は、「月刊文化通信ジャーナル」07年5月号に掲載)