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クローズアップ:番組海賊版がネットオークションに横行

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クローズアップ:番組海賊版がネットオークションに横行

2007年04月10日
違法複製モグラたたき

 海賊行為の類型から見て、やはり多いのは「パッケージ販売」のもの。形態は、ビデオテープ、DVD等を用い市販録画物のような形式にて販売(中国・台湾製が大半)されることが多い。この素材の元(ソース)は、オンエア録画や市販録画物の複製。これを、最近では、ネットオークション上で取引したり、ホームページに多数並べ販売している例が続いている。もちろん店舗等での直接販売もある。これらの販売価格は、シリーズドラマでDVD2000円程度となっており、ドラマの場合、全話放送終了後1~2週間でネット上に出回ってきている。こういった海賊版DVDでは、オンエア録画が使われていることが多いため、放送時の提供スポンサー表示もそのまま入ってことも多い。
 海賊版DVDを大量に扱う販売業者の内には、公然とホームページ上にたくさんのタイトルの海賊版DVDをラインナップして紹介しているものも多数存在する。

 ネットオークションには、民放・NHK、BS・地上を問わず、ローカル番組も含め、多数の違法複製番組が出品されている。これに対し在京民放担当者は、ほとんど日常的に、モグラたたきのような状態で発生・発見・削除要請を繰り返してきた状況。最近では出品削除を避けるために、在京民放担当者も休日となりそうな土・日のみを狙って出品する者も増えているという。すべてを監視できる状況ではないため、これまで発見されたものも氷山の一角であると推測されている。
 さらに、インターネット上ではWinMX等のファイル交換ソフトを利用したコンテンツの違法流通が日常化していることももはや公然の事実となっている。



権利意識低く個人でも

 海賊行為の最近の傾向で顕著なのは、これまでは大量販売して荒稼ぎをしようと目論んだ業者による行為がほとんどだったが、インターネットやPCの進歩、ネットオークションの台頭等により、一般個人の海賊行為が顕在化していることが大きな特徴。「私的複製の違法販売」ということで、これは、個人で録画したDVD・ビデオ等をネットオークションやファンサイトにて売買する行為などが当てはまる。この場合、CS・BSの音楽ライブ番組、ドラマ・バラエティー・東京ローカル番組等々、あらゆる番組が行き交うことになっていて、価格も2000円~1万円程度の設定で購入しやすくなっている。だが、この個人による「私的複製の違法販売」では、最近でも著作権法違反容疑よる逮捕が続出している。

 個人による海賊行為の背景には、ドラマ、アニメ、音楽、バラエティ、映画、スポーツなど多彩なコンテンツがテレビから提供されているということも含め、録画機器やEPGなどの発達により録画が容易になったこと、アナログ放送には著作権保護機能がないこと、などがあるだろう。また、ネットオークションという便利な道具の登場で、どんなものでも欲しがる人はいるというような意識も広まってきて、著作権侵害の意識もないまま気軽に販売している人もかなり増えてきたようだ。

 こういった著作権意識のなさやモラル低下が海賊行為をしてしまう根本にあるはずだ。だが、海賊行為が蔓延すれば、現状のテレビ文化もこれまでどおりに維持できるはずはない。D‐paでは、「違法コピーの蔓延がもたらすものは、権利侵害による権利者側の制作意欲低下、反社会的組織への資金の環流、正常な流通環境の阻害、など、正常なコンテンツ市場の形成とは真逆の方向に進んでしまうということになる。今後も良質なコンテンツを放送局が確保し続け、視聴者に提供できるようにするためには、海賊行為自体をなくしていくことしかない」と警鐘を鳴らしている。

 また佐藤氏は「今回のネットオークションへの違法出品監視および対策の開始は、不正コピーに対する事後的な対策となるもの。海賊版の廃絶に向けては、この事後的な取り組みだけでは不十分だと認識している。大元からの対策であるコピー制御の部分での対策と併せて、車の両輪として海賊版をなくしていきたい」と語っている。

 以下の画像は左より、海賊版と正規版の実物見本、正規版の実物見本
(ともにクリックすると拡大します)
  

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