特集:第4回東京アジア・ミュージックマーケット(TAM)
2007年10月16日
「第4回東京アジア・ミュージックマーケット(TAM)」のプログラムのひとつビジネスセミナー「海外展開(特にアジア地域に向けて)の課題と戦略~アジア音楽市場でJ‐POPを中心とした日本音楽の可能性を考察~」が17日午後、東京・恵比寿ガーデンルームで開催された。
はじめに、
ジョン・ケネディIFPI(国際レコード産業連盟)会長兼CEOが「世界のレコード産業の潮流とアジア市場への期待」と題し特別基調講演を行った。
続いて、モデレーターの
レオン・メイ・シーIFPIアジア地域代表(=
写真上)、パネラーの
マックス・ホール ユニバーサル ミュージック グループ インターナショナル・マーケティング/A&R担当 取締役副社長 アジア・太平洋地域社長、
余越直コロムビアミュージックエンタテインメント知財戦略本部海外ライセンス・マーケティングマネージャー、
田中章ソニー・ミュージックエンタテインメント国際グループ・インターナショナル・マーケティング部長の4氏が、日本のアーティストの海外進出に向けた課題と戦略をテーマにディスカッションを行った。
「課題は言語の壁」、「日本語でも問題ない」
「カバーさせ認知拡大する」などの意見出る
日本のアーティストの海外展開における課題として、
ホール氏は、言語の壁を挙げ「アジアで成功するためには日本語でも良いのかもしれない。しかし、ミリオンにはならないだろう。例えばAI(=ユニバーサル ミュージック所属の女性R&B歌手)は英語で歌うことができる。私も石坂氏(=ユニバーサル ミュージック代表取締役会長兼CEO)も、AIが日本でもっと実績を挙げるまで進出させないという考え方だ。海外進出には多くの時間とプランが必要だ」と語った。
田中氏は、YUI、SOUL’d OUT、中孝介など、現在行っている同社所属アーティストのアジア展開を説明した後、洋楽担当時代に海外アーティストが英語ではなく母国語で歌った曲が日本でも売れたという自身の経験を紹介し「母国語の方が情感を伝えることができたから売れたのではないか。だから日本人が日本語で歌っても、自分を表現することができれば問題ない」との意見を述べた。
余越氏は「まず、日本のアーティストの曲をその国のアーティストに母国語でカバーさせ、認知を拡大する」ことが海外進出の戦略のひとつであると、自身の成功体験をもとに語った。
様々な意見が飛び交ったディスカッションは、最後に各氏が「音楽産業はドリーム・ビジネスであり、夢があればそれをもち続けるべきだ」(
ホール氏)、「アジアでは、バラードしか売れないという間違った常識があるようだがそんなことはない。例えば、のだめオーケストラは台湾チャートを独占し、アジア全体では3万枚も売れている」(
田中氏)、「当然日本は我々にとって重要なマーケットだが、日本に留まらず日本の音楽を世界に届けることは、この業界で働く人にとっての憧れだ」(
余越氏)と述べ、終了した。
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