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トップインタビュー:高橋浩東映アニメーション社長

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トップインタビュー:高橋浩東映アニメーション社長

2006年08月02日
■前期は5本の映画製作

――平成18年3月期は連結売上高が215億6千万円(29.5%増)を始めとして過去最高の決算を計上したわけですが、その主な要因は何があげられますか。

前期は5本の映画(「ふたりはプリキュアMax Heat」「金色のガッシュベル!!」「ふたりはプリキュアMax Heat 雪空のともだち」「最終兵器彼女」「ワンピース the Movie カラクリ城のメカ巨兵」)を製作、公開したことと「ドラゴンボール」「デジモンアドベンチャー」の海外販売が好調だったことが挙げられます。もともと1999年まで、1994年を除くと売上は100億円前後で推移していたんですね。12年前は売上160億円をあげたんですが、この年は「ドラゴンボールZ」に「美少女戦士セーラームーンS(スペシャル)」、そして「スラム・ダンク」という東映アニメを代表するヒット作3本が放送されていたわけで、版権収入も相当の金額に上がっていたことでしょう。2000年以降は5年間にわたって150~170億円で推移して来たわけですが、なぜ2000年から売上が伸びたかといいますと、その年の12月にジャスダック市場に上場したわけですね。上場を果たすには、確りとした会社の中長期計画を持っていなければならないし、利益を上げなければならない。そういう姿勢が社員に通じ、社員のやる気を引き出していったことが一つあげられます。加えて、98年から日本でもヒットしている「デジモンアドベンチャー」や前述の「ドラゴンボールZ」がデジタルの普及によりアメリカがネットワークでの放送になり、アメリカへの輸出が急激に伸びていったわけです。00年からの5年間、多少の山谷はありましたが基本的に150億円~170億円の売上を維持できたことが、前期の過去最高の決算につながったんじゃないかと思っています。

――現在、好調な要因として「ふたりはプリキュア」という東映アニメーション独自のオリジナル作品があると思いますが、いつ頃からオリジナル作品の制作を始められたんですか。

「おジャ魔女どれみ」と「デジモンアドベンチャー」の2本で、それぞれ98年から放送が始まっています。アニメは通常、出版社系の連載マンガのアニメ化なんですが、出版社のヒット作が少なくなったということもあるでしょうね。しかし、オリジナル作品は、テレビ局の信用がなければ絶対に出来ませんね。僕がかつてテレビ朝日の編成マンをしていたから分るけど、企画書が来て「なに、これ?」だからね。それに対して「これは『少年ジャンプ』で連載しています」「おお、そうか!」で、「『ジャンプ』で人気を調べたらトップですよ」「やれ!」ということになるけれども、オリジナルはNOですよ。だからオリジナルでヒット作を出したことがすごいわけです。「デジモン」は人気ゲームソフトから主人公を作ったりしたけれども「おジャ魔女どれみ」はまったくのオリジナル作品で、我々が作る新しいビジネス・モデルを作り実績を残したわけです。レイティングは両方ともよく、なおかつ2次利用収入も上がって来た。そうするとテレビ局は安心する。要するに「おジャ魔女どれみ」を4年間やり、それから「明日のナージャ」('03)を1年放送し、そのいろいろな要素を「ふたりはプリキュア」に採り入れたんです。だから「ふたりはプリキュア」はそれだけで出来たわけではないんです。

――オリジナル作品を制作していく、開発していくということは、雑誌に連載されているものに比べて何倍ものエネルギーが必要ですね。それがなければ、開発など出来ないということでしょう。

その通りです。

東映アニメーション(株)平成18年3月期連結決算

売上高 215億6100万円 29.5%増
(内訳) 映像製作・販売事業 122億7700万円 36.9%増
版権事業 59億1400万円 31.5%増
関連事業 29億3800万円 3.2%減
営業利益 38億5800万円 72.1%増
経常利益 41億5700万円 59.8%増
当期純利益 24億2800万円 56.3%増


(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」2006年7月号に掲載)

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